前編がボリューミーになってしまったので、後編に分けて紹介していきます。
後編では、個社状況やユニコーンのバリュエーション動向、インドのエコシステムとどのように付き合っていくべきか私見を紹介していきます。
1.BYJU'Sの状況激変
個人的に一番衝撃的だったのは、インド発EdtechデカコーンであるBYJU'Sのバリュエーション大幅下落と不正報道ですね。COVID前にはHBR(Harverd Business Review)のビジネスケーススタディにも名を連ねており、買収に次ぐ買収で規模を拡大させていたスタートアップでした。
<HBRのケーススタディ(2017年発行、2018年修正稿)>
BYJU'S The Learning App - Case - Faculty & Research - Harvard Business School (hbs.edu)
このケースでは、インド発のBYJU'Sが欧米マーケットへの参入を決めた際にその戦略が適切なのかどうかを論じるためのマテリアルが用意されています。
しかし、今年に入って企業評価額の度重なる減少、レイオフ、不正報道が多数報じられています。時系列を追ってみていきましょう。
2022年6月:BYJU'S 2500名の従業員レイオフ計画を発表。
Byju's CEO apologises to employees after mass layoffs: read his full email here - India Today
2023年6月:主要投資家であるProsusがバリュエーションの減額を発表、デロイトが監査を辞退。
Prosus slashes India's Byju's valuation to $5 billion
Deloitte quits as auditor of Indian start-up Byju's (ft.com)
2023年11月:当局がBYJU'Sを外国為替規則違反の疑いで調査の予定。Prosusがバリュエーションの減額を発表。
India accuses edtech giant Byju's of $1.1 billion forex violations | TechCrunch
Prosus Marks Down Byju's Valuation Again, This Time To Below $3 Billion (outlookindia.com)
一時期は220億ドルあったといわれるBYJU'Sの評価額も30億ドル未満になってしまったと報じられており、厳しい状況が続いているようです。
苦戦の理由としては、以下が想定されます。
■採算度外視な拡大戦略をとり、景況の悪化で売れば売るほど赤字になってしまった。
■コンプライアンスやマネジメントの課題ありと認識されてしまった。
■トップライン偏重。
他にもインドのユニコーンの中で評価額を減らされたと報じられた企業がいるので、いくつか紹介します。
バリュエーションが下がったと報じられたユニコーン:Swiggy, PineLabs, OLA, Pharmeasy, Meesho, Erditus, gupshup
<報道一覧>
Valuation Markdowns: 8 Indian Unicorns That Faced Investors' Wrath In 2023 (inc42.com)
2023 in review: For Indian tech startups, an unrelenting funding winter | Mint (livemint.com)
それでは、次のページでエコシステムの付き合い方について改めて紹介していきます。
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2.インドのスタートアップ・エコシステムとの付き合い方
章立てしてみたものの、基本方針や、やることはあまり変わらないような気がしています(笑)
あと、今ならではの出来ることは、ジェネシアの相良さんがXでも仰っているように、「普段は会うことのできないスタートアップと会う」ということでしょう。
<Xリンク&コメント引用>
インドにおける'23Q1の資金調達は金額ベースで前年同期比75%の落ち込み。新規参入するVCとしてこの一瞬だけ空いたwindowを逃すまいと着の身着のままやって来ましたが、昨年一昨年のbull marketでは巡り会えなかったであろうレベルの起業家ともopenに会話でき、改めてwhy nowの重要性を実感しています。
https://x.com/snsk_sgr/status/1697119642308030673?s=20
(1)「インドへ進出するのは今!」、「今インドで起業しないと先行者利益を取れない」は別に真に受けなくてOK。:インドに進出&起業するかどうかは、皆さんの海外戦略次第なので、タイミング不一致、人材不足、資金不足という状態ならば、今すぐに進出しなくてもよいです。というか、インドで起業すると単なるインド法人になってしまい、デメリットだらけです。こちらの記事も参照願います。インド・スタートアップ備忘録:ビジネス円滑化のための追加視点|スタートアップ超大国 インド~ベンガルールからの現地ブログ~|World Voice|ニューズウィーク日本版 (newsweekjapan.jp)
(2)「インドは主語が大きすぎるので一概に語ることができない。」も考えものです:自分なりにインドという単語を分解して自分の戦うフィールドで分析できない限りは、インドを活用することは不可能です。この手の「インド主語大きすぎ問題」は分析を怠るフレーズにしやすいので、注意が必要です。かといって「大雑把」すぎるインド定義もミスを生みやすいので、注意しなければいけないです。
<気を付けるべきこと>
(1) ライトパーソンに出会うまでは試行錯誤を繰り返して「感覚」をつかんだほうがいい:極めて玉石混交であるので、自社の戦略に合わせてくれる人、理解してくれる人に合わないと振り回されてしまいます。
(2) アジェンダとメリットを明確に:相手に会ってもいいかなと思わせたらマネジメントクラスでも会ってもらえるはずです。繰り返しになりますが、挨拶アポは厳禁です。
こんな感じで前編後編と長くなってしまいましたが、最新版の概観とどうやって付き合っていくべきかを紹介しました。引き続き現場の感覚や状況をご案内できればと思います。