1月の記事では、インド農業の概観を解説しました。
今回は私が所属するサグリのインドにおけるパートナー企業でもあり、ラジャスタン州ジャイプールに本拠を置くFreshokartz社のMr. Rajendraとのインタビューを通じて、現場からみるインドのアグリテックシーンを紹介していきます。

(筆者撮影、右がMr. Rajendra, Freshokratz, Founder and CEO)
(インタビュー・編集:永田賢)
<Freshokartz会社紹介>
(ロゴ、Freshokartzホームページから引用)
── まず、Freshokartzの概要を教えてください。
Freshokartzは土壌データに基づいた作物や肥料の推奨を農家に提供し、村落にあるセンターのネットワークを通じて農家に農業資材を販売しています。また、Freshokartzは農家が農場から直接企業に農業生産物を販売することも支援しています。
── なぜFreshokartzを創業しようと思ったのですか?
私は農家の出身で、両親は自営の農家です。私は子供の頃から農家の苦労(売る場所によって農作物の値段が全然違う、農業資材の交渉力がない等)を目の当たりにし、同じ分野で何かをしたいと考えていました。新卒で就職後、IT企業で2年ほど経験を積んだ後、私は仕事を辞め、2016年にFreshokartzのアイデアに取り組み始めました。この設立には、妻のChandrakantaが共同設立者兼COOとして参加しました。
こちら、創業に通じる原体験ともいえるエピソードがあります。
"ムンバイで野菜を買ったとき、タマネギの値段が1kgあたり20ルピーだったのを見て、村の父に話を聞くと、1kgあたり5ルピーで売られていました。ここで、基本的なサプライチェーンに問題があることに気づきました。しかし、調査を始めてみると、農家もいろいろな問題を抱えていることがわかりました。農業部門はまったく組織化されていなかったのです。"
[Tech30] How agritech startup FreshoKartz helps augment farmers' income by 50 pc (yourstory.com)より引用。
── 農家のどんな課題を解決していますか?
主に収入とインプットです。我々は、農家の方々がFreshokartzを使って1農期分、20~30%の追加収入を得られるよう支援しています。具体的には、農家向けに土壌診断から販売支援までの一貫支援となっています。例えば、土壌データに基づいた肥料の推奨を行うことで、農家の肥料使用量の削減に貢献しています。加えて、我々は女性農業従事者や小規模農家との連携にも力を入れています。
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── Freshokartzの具体的なサービスについて教えてください。
我々は土壌データに基づいた作物や肥料の推奨情報を農家に提供し、村落にあるFreshokartzセンターのネットワークを通じて農家に農業資材を販売するとともに、農家が農場から直接企業に農業生産物を販売することを支援しています。Freshokartzは農家のデータを農場個別レベルで管理しており、正確なデータを提供しています。加えて、Freshokartzはコールセンターと農学アドバイザーを擁しています。
── COVID19では事業にどんな影響を受けましたか?
我々のビジネスモデルは、村レベルでセンターを開設し、農家と対話して対面の接点を持って信頼関係を醸成することに重点を置いています。インドの農家の人たちは、実際にサービスベンダーと会うことができて、農家のニーズに応じたサービスを受けられる場合にのみ、それらのサービスを信頼してくれるのです。Freshokartzのモデルは、このシナリオに最も適しています。私たちはCOVID19の影響を10%しか受けていません(売上減少と言う意味において)。最終的には、Freshokartzの収益はCOVID19ピーク時における最後の3カ月(5月から8月)で2倍になりました。予想では収益はもっと増えていたかもしれませんが、それでも大きな損失を出さずに乗り切ることができました。
(Freshokartz提供写真、圃場での農家との対話シーン)
── 競合他社との差別化ポイントはどんな点にありますか?
先に述べたように、私たちのモデルは、村レベルでセンターを開設し、直接フェイストゥフェイスで農家と対話することです。インドの農家は、会ってくれる人だけを信用し、その信用度に見合ったサービスしか採用しません。インドにおいて、物理的なタッチポイントを作り出して、現場レベルで農家と連携するという戦略に注力しているプレイヤーは非常に少ないです。チームのほとんどは、現場で働いており、農業の経験者です。そのため、私たちは他にはないユニークな存在であり、農家への農業投入物、生産物、作物のアドバイス、クレジットが混在するビジネスモデルとなっています。
【筆者捕捉】よくあるインドのアグリテックでは、単に農家の息子や関係者という肩書を使っただけで、実際は十分な農業指導技術もなく、eコマースのように農作物を右から左に流して、やっていることはミドルマン(仲介業者)のように新たな搾取モデルになってしまっている例もあるので、Freshokartzのモデルはとことん現場にこだわっていると言えます。

(Freshokartzのセンター写真、筆者撮影)
── 今後の短期&長期的な戦略について教えてください。
まずは、今後2年間で約200万人のクライアントとしての農家を増やし、現在の30カ所から、100カ所へとセンターを増設します。更に、今後5年間で1,000万人の農家を対象に、政府と緊密に連携しながら、作物保険など農業に関する諸々のサービスを提供していく予定です。
── 最後の質問となります、海外の企業との協業関心はありますか?
はい、もちろんです。私たちは、農家向けの製品を開発しており、これを世界中で発売することができます。すでに日本の企業と提携しているので、今後、日本での活動に向けて相乗効果を発揮することができます。
【筆者補足】
私が所属しているサグリ株式会社とFreshokartzは2019年から提携しており、ラジャスタン州を中心にマイクロファイナンスのパイロットや小麦の収量改善・タンパク質含有量の改善といったプロジェクトを実施しています。
参考リンク:「アジアDX等新規事業創造推進支援事業費補助金(日印経済産業協力事業)」にかかわる採択事業者について | 2020年 - お知らせ - お知らせ・記者発表 - ジェトロ (jetro.go.jp)
(Freshokartz Founders近影、Mr. Rajendra提供)
Mr. Rajendra, インタビューへのご協力、ありがとうございました!
引き続き現場目線でのアグリテック企業を紹介していきますので、乞うご期待くださいませ。
もっと情報が欲しい方は私までご連絡くださいませ!
【Freshokartz基本情報】
設立:2016年
業界:アグリテック
本社:インド共和国ラジャスタン州ジャイプール
Linkedin:FreshoKartz Agri: 概要 | LinkedIn
Founder:Mr. Rajendra Lora, Ms. Chandrakanta