バーレーン政府は9月11日(金)、米国のトランプ大統領の仲介によりイスラエルとの国交樹立に合意したことを発表した。これにより、バーレーンは湾岸諸国でイスラエルとの国交樹立を宣言した2番目の国家となる。
バーレーン現地時間の午後8時(日本時間12日午前2時)にトランプ大統領がツイッターに投稿した共同声明によると、バーレーンのハマド国王、イスラエルのネタニヤフ首相は「完全な国交樹立」(establishment of full diplomatic relations)に合意した。共同声明では、2019年6月25日にイスラエル・パレスチナを対象とした経済ワークショップ(Peace to Prosperity)のホスト国となったバーレーンへの謝意が盛り込まれており、同国による中東和平への試みを米・イスラエル両国が歓迎していることが改めて記された。
バーレーンは先月末から今月初めにかけて米国からポンペオ国務長官とクシュナー大統領上級顧問を迎えてきたが、イスラエルとの国交樹立については、ハマド国王がイスラエルとの国交樹立はパレスチナ国家の成立なくして容認できないとの姿勢を表明していた。そのため、現地では今回の報道は驚きをもって迎えられており、今後のバーレーン政府の国内向けの対応には注意していく必要がある。
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そもそも、先月UAEがイスラエルとの国交樹立を目指す交渉を開始した際、バーレーン政府はUAEの方針を支持する声明を即座に発表、他の主要アラブ諸国からもUAEに対する強い非難の声は結局上がらなかった。今回のUAEとバーレーンによるイスラエルとの国交正常化は、1967年時点の停戦ラインに固執するパレスチナがアラブ諸国の中でますます孤立しつつあるという現状を浮き彫りにしている。
UAEの動きに対し批判の声を上げた主な国はイランやトルコなどだが、これらの国々はいずれもアラブ諸国ではなく、UAEとは外交上対立関係にある国家だ。UAEは、イラン革命(1979年)以降、イランを安全保障上の脅威ととらえているほか、リビアにおいてはトルコの支援するトリポリ政府と対立するハフタル陣営側を支援している。パレスチナはこれまで、「アラブの大義」と呼ばれる、アラブ諸国によるパレスチナ支援を後ろ盾にイスラエルとの和平交渉に臨んできたが、こうしたパレスチナの活動をこれまで公式には支持してきた湾岸諸国との温度差は確実に大きくなっている。
今回のUAEとバーレーン政府によるイスラエルとの国交正常化の動きは、湾岸諸国が「アラブの大義」という建て前を放棄し、イスラエルの生存権を現実的に認め、軍事的・経済的な協力関係を築く方向に舵を切ったことを示した。トランプ政権は、対イラン包囲網などを意識し、UAE以外のアラブ諸国に対してもイスラエルとの和平協定の締結を求めてきたが、この政治的な賭けは一定の成果を上げていると言えよう。ただし、バーレーンの国内問題を考えると、同国はUAEと異なり組織的な反政府勢力が存在していることから、抗議デモへの統制の強化など困難な舵取りを迫られそうだ。