毎年恒例の「今年の漢字」が「密」に決まって、京都・清水寺で揮毫(きごう)されたと、日本発のニュースが伝えていました。先般は「新語・流行語大賞」に「3密」が選ばれ、新型コロナウイルス感染拡大につながる「3密を避けよう!」という標語は、「Three Cs」「3Cs」と英訳されて、海外でも使われたということも聞きましたが、日本語のように語呂が良いとも言えず、一般市民への浸透はイマイチなのでは?と推測してしまいます。

その証拠に春の第1波が収まりロックダウンが解除されて、夏のバカンスシーズンになると、ヨーロッパ各地の観光地では「密閉」を除く「密集」「密接」の状況はあちこちで散見されました。そして、冬の到来が早いベルギーを含む北ヨーロッパでは、2度目のロックダウンやリモートワーク義務化も相まって、家の中に籠る時間が増えて「密閉」空間での家族間の「密接」による感染拡大もみられました。それに加えて、掟破りのホームパーティーや移民系の大家族の家庭内における「密集」の実態も明らかになり、完全な抑え込みには至らぬままクリスマスを迎えようとしています。

日本人と比べ、良くも悪くも直接的なスキンシップを好み、ハグやチークキスが日常化しているヨーロッパ人にとっては、「3密」を完全に回避するのは難しいのかもしれず、それによってクリスマスを前に日本とは桁違いのコロナ感染状況を生んでしまっているのかもしれません。

クリスマス前に深刻な第2波の状況

前回1ヶ月ほど前に記事をお届けした際には、ヨーロッパ各国でコロナ第2波が猛威を振るい、周辺国同様にベルギーも2度目のロックダウンが始まって2週間ほど経過する頃でした。その後の新規感染者数も順調に減っていたのですが、12月2日から食料品や薬など生活必需品以外のお店の営業再開が始まり一気にクリスマス商戦を迎えたことによって、商業施設などへの人出が増え、感染者数はじめ各種の数字の減少ペースが停滞する状況になっています。

更に深刻なのが、お隣ドイツとオランダ。第1波の際にはヨーロッパの主要国で唯一抑え込みに成功したドイツでは、今月に入り他国で微減や横ばいで推移している中、再度感染者の増加局面となってしまい、死者数も600人に迫る勢いで過去最悪の状況が続いています。人口当たりでも、フランスやスペイン、イギリスより酷い状況となってしまいました。こうした事態を受けて、いつもは落ち着いてどっしり構えているメルケル首相が感情を露わにして国民に訴えかけ、今週16日から一度緩和した規制を再度強化、引き締める決定をしました。オランダでも第1派の時には他の西欧諸国に比べて状況はましだったのが、12月に入ってこれまでの最悪だった10月末にピークを迎えた第2波を更に突破しそうな勢いで第3波が襲っていて、明日15日からの5週間のロックダウンが始まることとなりました。

このような状況の中、例年ならこの時期は広場や通りにクリスマスマーケットが立ち、夜も遅くまで賑わうブリュッセル中心部ですが、今年は中止(ベルギー全土、ヨーロッパ各地も同様)。更には夜10時以降の夜間外出禁止となっているため、9時半くらいから街中から人通りが消えはじめます。

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イルミネーションの設置準備は異様に早かった今年

そんなブリュッセルの街中ですが、通りを飾るクリスマスイルミネーションの設置は例年と比べものにならないくらい早かったのでした。どのくらいかというと、ハロウィーンの5日も前の10月25日。例年より4週間ほど早い計算になります。我が家の建物の目の前にも、ロワイヤル(ロイヤル)地区の名に因んで王冠型の電飾が設置されるのですが、最初に建物から出てその姿を見た時には「もう11月も終わりかぁ〜」と、一瞬1ヶ月暦を間違えたくらいでしたので。

その頃近所のテイクアウトのみで営業中のお店スタッフにその旨伝えてみると、春の第1波のロックダウンで3ヶ月も営業停止を食らったので、クリスマスイルミネーションを大幅に前倒して、活気づける意図があるんじゃないの?などと言っていましたが、そうした市や商店街の期待もむなしく、第2波が最悪の状況になってきつつあり、この灯りが商売の後押しをすることなく、飲食店の営業停止がまた始まり、ハロウィーン後にはロックダウンを迎えることとなってしまったのでした。

そして、この4週間も早く設置されたイルミネーションですが、結局点灯することになったのは例年同様に11月末で、約1ヶ月光を放つことはなかったのでした。ロックダウンに夜間外出禁止令が出された以上、無闇に出歩かないように!という意図があったのでしょう。

世界遺産の広場、グランプラスのクリスマスツリーの点灯式も非公開で実施

ブリュッセル旧市街の中心ある広場グランプラスには、毎年クリスマスツリーが立ちます。ベルギー各地の中から1ヶ所選ばれて適齢期となったモミの木が運ばれてきて、広場の石畳を剥がして設置。数日の間で飾り付けをして、11月の最終金曜日にツリーの点灯式が行われ、同時に広場を取り囲む荘厳な建物をスクリーンに見立ててプロジェクションマッピングをする「音と光のショー」も封切りとなります。

その慣習に倣えば1127日の金曜日が点灯式になるはずですが、今年は24日の火曜日に突然ツリーが点灯。映像も音楽もなしで、建物が地味めに彩られて何色か色が変わるというイルミネーションだけが行われました。点灯式もブリュッセル市長(区長)と一部の関係者のみで行ったようでした。これは、先ほどお話しした我が家の通りのイルミネーションが同じ日の夕方に灯りがともったので、もしや?と思い、市のホームページで公開されている広場に設置されているウェブカメラの映像で確認してみたことで発覚したのでした。

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我が家界隈のイルミネーション。夜は勿論、昼間でも薄暗い日も多いので灯りは嬉しいのです。©︎ hiquirin

それでも、クリスマスカラーの赤と緑で点滅を繰り返した後、青や紫に広場全体が包まれたりするような「光のショー」は、普段のライトアップとは違うため、クリスマスシーズンの到来を感じさせるものでした。そして、僕らも翌日25日(水)の夜にグランプラスに向かってみたのですが、光のショーはなく、ずっと赤くライトアップされたままでした...残念!

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人気のブリュッセルとブルージュに人出が集中、ライトショーは中止に。

クリスマスツリーに灯りがともって迎えた最初の週末、28日の土曜日、広場には大勢の見物客が訪れ、まさに「密」が発生してしまっていました。ベルギーでもGoToキャンペーンが10月から始まり、日本のように宿泊割引や地域クーポンはないものの、全住民に鉄道パスを配布して、半年間に渡り毎月ベルギー全土列車の旅が片道2区間(1往復)無料で出来る「Hello Belgium」 実施の真っ最中。ブリュッセル市民のみならず、国中からベルギーで一番立派なクリスマスツリーを見にやってきていたのでした。


恐らく理由はこれだけでなく、ここ数年点灯式の際には幻想的なパレードが行われていて、中には同じ催しがあるのでは?、もし無くても代替のイベントがあるのでは?と期待した人々もいたことでしょう。

↓ 僕のブログ『ヨーロッパ発 日欧ミドルGAYカップルのツレ連れ日記』から3年前のパレードの様子を書いた記事です。記事の中でパレードの動画がご覧になれます。


しかしこの結果、ブリュッセル市は翌日から広場のライトショーを停止。以来、現在まで時折色を変えたりはしていますが、ほぼ通常の白色のライトアップとなってしまいました。

また、クリスマス時期に訪れたい世界の街ランキングで毎年上位にランクインするフランダースの古都ブルージュ。街全体が世界遺産のようなブルージュでは、昨年から"Wintergloed"(英語で Winter Glow)「冬の輝き」という旧市街を巡って光のインスタレーションを楽しむというイベントが始まったのですが、今年も28日の夜から開催されました。

ですが、大変大勢の見物客が訪れたため、急遽翌日の日曜、そして翌週の土日も中止に。

ブリュッセルもブルージュもそれぞれの市長が「押し寄せないで!」と声明を出して呼び掛けるという有様。国内のどこからでも数十分から一時間ちょっとで陸続きの国境をまたげる小国のベルギー(九州ほどの面積)。気軽に隣の国へ出掛けて行くベルギー人もこの冬はそれも強い自粛が求められているため、国内の人気都市に人出が集中する事態が起きてしまったのでした。僕らもクリスマスは自宅で夫とふたりきり静かに過ごした後で、年末に掛けてブルージュに1泊2日の旅行を計画していましたが、現時点ではひとまず保留に。

ということで、今年のクリスマスは様々な制約がありますが、今年のみの我慢と心得て冬休み中の行動も状況を観ながら考えていくつもりでいます。