野球の世界大会「WBC 2026」は、日本を失意のどん底へ突き落したベネズエラが優勝して幕を閉じた。

台湾とチェコを破り、2連勝で日本戦を迎えたオーストラリアは、敗れはしたものの、6回まで1 - 0 と1点リードで日本を無得点に封じ、その後4得点されるも、9回表に2点を追加して3 - 4 まで追い上げ、あわや・・・というところまで日本を追い詰めた。

1次ラウンドの最終戦となる韓国戦でも、粘り強さを発揮。あと一歩で8強に届かなかったが、今やオーストラリアは、日本や韓国、台湾といった強豪国を脅かす存在に成長したことを実感できる大会となったと思う。

結構強いのに国内ではなぜか人気がない野球

オーストラリアは、さまざまな競技においてスポーツ大国として知られるが、(ここのコラムでに過去に何度も触れているように)野球の人気はなかなか定着しない。まず、野球を目にする機会が少ないのだ。国内のテレビ放送は、ニュースを含め、ほぼ皆無。野球場もほとんどなく、あったとして郊外で行きにくかったりするため、野球をしているところを目にすることがほとんどない。

そんな環境のせいか、『WBC (WORLD BASEBALL CLASSIC™)』を知っている人は、ほぼいない。前回大会の前に、某TV番組のために「WBCを知っていますか?」という街頭インタビューをシドニー中心部で行ったが、「WBC?何それ?」という人ばかりで、「野球の世界大会です」と伝えても、「野球の世界大会なんてあるんだ?」といった調子で、知っている人は皆無だった。(この話は、以前、以下のコラムでも書いているのでよかったらご一読を)

オーストラリアで野球はどれほど不人気なのか?

このような状況であるため、トラビス・バザーナのことも、当然ながら知らない人がほとんどだ。「MLBのドラフトで全体1位指名された選手です」と言っても、「へぇ~、オージーにそんな選手がいるんだ?」といった具合で、豪州版デイリー・メール紙でも、以下のような記事を出したほど。

Most Aussies have no idea this $15million rising star even exists.(ほとんどのオーストラリア人は、この1500万ドルの新星の存在すら知らない)


台湾戦ではホームランを、日本戦でも粘り強くタイムリーを放ち、打撃はもちろん、守備でも要所要所で光るものをみせてくれたバザーナ選手。

そんなわけで、日本では大変盛り上がり、大いに楽しませてくれたWBCも、ここオーストラリアでは、まるでそよ風のごとく、何事もなかったかのように過ぎ去っていった...(涙)

今大会では、前回大会の8強入りを上回る成績を目標に挑んだオーストラリアであったが、その目標は残念ながら達成できなかった。それでも、今回は台湾を破る番狂わせをはじめ、日本や韓国を苦しめ、あと一歩まで追い詰める大健闘で、その実力を世界に知らしめることができたように思う。

また大会後には、WBCでも活躍したジャック・オロックリン選手が、韓国リーグ(KBO)のサムスン・ライオンズとの契約を勝ち取るなど、オーストラリア野球のレベルの高さが世界の目に触れ、注目される大会になったことは間違いない。今後、野球強豪国のどこかのチームでプレーするオーストラリア人選手がもっと増えてきそうな気配もある。

世界各地で1人でも多くのオージー野球選手が活躍すれば、少しは国民の関心も高まってくるに違いない。(と思いたい...)〈了〉