秋に入って刻々と日が短くなり、先日、ちょうど秋分の頃に山で迎えた日の出は、午前7時頃、一方、日の入りは午後7時頃でした。かつてペルージャ外国人大学の日本語・日本文学の授業中に、『古今集』の秋の歌の導入として、学生たちに、「皆さんは、秋と聞くと何を思い浮かべますか。」と尋ねたとき、「夏が終わってしまう悲しさ」という答えが多いのに驚いたことがあるのですが、うちの夫などは、毎年、夏至の頃から、「これからは日がどんどん短くなって、夏が終わってしまう」と言っています。

 夏至の頃には、日が沈むのが午後9時前で、9時を過ぎでもまだしばらくは空が明るかったことを思うと、ずいぶん日が長くなったものです。1か月後、10月30日土曜日には、ペルージャでの日の入りが午後6時5分で、その翌日、10月31日日曜日には、夏時間から冬時間となるために、なんと日の入りが午後5時4分になってしまいます。

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トラジメーノ湖に沈む夕日 2021/6/26 20:53 photo: Naoko Ishii

 イタリア語では、冬時間をora solare「太陽の時間」、夏時間をora legale「法定時間」と呼びます。イタリアとドイツは、1916年、第一次世界大戦中に窮状から、エネルギー消費を節約しようと夏時間を採用しました。1970年代にはまた、石油危機の際に夏時間を採用する国があり、2001年からは、EU指令によって、欧州連合のすべての加盟国で、3月の最後の日曜日に夏時間に、10月最後の日曜日に冬時間となることになりました。

 夏時間を採用することで、夜に照明をつける時間が1時間遅くなるため、イタリアではエネルギー全体の消費の0.2%を節約することができ、年間のエネルギー消費量が5億6000万kWh少なくなって、イタリアの家庭にとって1億1500万ユーロを超える節約となり、夏時間のおかげで、2004年から2017年にかけて、イタリアでは、14億3500万ユーロを節約することができたとのことです。

 にも関わらず、2018年夏の調査で、ヨーロッパ住民の84%が夏時間の廃止に賛成という結果が出て、2019年3月に欧州議会が夏時間の廃止を可決したのは、夏の夜が極めて長い北欧では、時計を1時間早めても、益がないと考えられ、また、1時間時間をずらすことが心身の均衡を崩すという声があったためであろうとのことです。そうして、今年、2021年じゅうに、欧州連合のすべての国が、夏時間あるいは冬時間のいずれかを選択して、今後ずっと採用することとされています。

 では、イタリアはどう決めたのかと言うと、すでに第二次コンテ内閣のときに、従来どおり半年は夏時間、半年は冬時間としたいと欧州連合に申請したとのことで、今関連記事をあれこれ調べてみると、それが可能であるかどうかは、欧州評議会の判断を待たなければならないようです。

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シビッリーニ山脈から望む夕景. 2021/9/23 19:05 photo: Naoko Ishii

 エネルギーの枯渇と高騰が問題となっていることでもあり、エネルギーの節約のためにも、今後もイタリアでは、夏時間と冬時間をどちらも残すことができればと、そう願っています。