コラム

「人権侵害は痛くもかゆくもない」日本の根底にある少数民族軽視とアジア蔑視

2022年02月08日(火)15時00分

このような日本の政治家からすれば、日本人だけに人権を語る権利はあり、中国に住む人たちは人権の対象にすらならない。建前でも「日本の国益」にならないのである。

人権は国境と民族の境界を越えた、人類が追究して守らなければならない普遍的な理念である。民主主義国家の主要な一員を自任する日本が出した曖昧な決議は、自国の品位を落とし、政治家の顔に泥を塗る愚策でしかない。

このような決議を見て喜んでいるのは名前すら登場しない中国だ。日本の政治家は「口撃」、つまり口先だけで何もできない、と中国の戦狼外交官もほくそ笑んでいるに違いない。

永田町による、永田町のための言葉遊びと諸民族蔑視はいいかげんやめたほうがいい

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プロフィール

楊海英

(Yang Hai-ying)静岡大学教授。モンゴル名オーノス・チョクト(日本名は大野旭)。南モンゴル(中国内モンゴル自治州)出身。編著に『フロンティアと国際社会の中国文化大革命』など <筆者の過去記事一覧はこちら

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