コラム

中国の「虎の尾」を踏んだ、ムガベ大統領の哀れな末路

2017年12月09日(土)14時00分

中国は60年代初期からアフリカや中東に積極的に革命思想を「輸出」。現地の青年将校たちを支援し、大勢の老朋友を獲得してきた。黒人解放運動を主導し、マルクス主義者を自任していたムガベが64年から約10年間投獄されていた時期も、中国は彼を「半植民地の旗手にして社会主義の闘士」と称賛した。

00年以降の土地の強制収用など白人敵視政策も、中華人民共和国成立直後の50年代に中国共産党が進めた反帝国主義運動の猿まねにすぎない。西欧列強の財産を没収して国有化した、社会主義の先輩・中国の「成功」をムガベは見習った。その結果、農地は荒廃し財政も悪化し、極度のインフレに陥った。

近年は中国の内政干渉がしたたかさを増しており、孔子平和賞を辞退したのもムガベのいら立ちの表れだろう。その頃、ムガベは経済利権を獲得しようとなりふり構わずダイヤ鉱採掘に突進。ついには中国の利権まで国有化しようとし、最終的には政治生命を絶たれた。

ムガベは古き良き友人・中国に突き放されて、失意の晩年を送ることだろう。かつてはムガベの忠実な部下だったムナンガグワ新大統領もまた、独立闘争時に中国で極秘の軍事訓練を受けていた経歴から、老朋友であることに変わりはない。

中国の利権を損なう行動に出れば、ムナンガグワも捨てられる運命にあるかもしれない。

<本誌2017年12月12日号掲載>

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プロフィール

楊海英

(Yang Hai-ying)静岡大学教授。モンゴル名オーノス・チョクト(日本名は大野旭)。南モンゴル(中国内モンゴル自治州)出身。編著に『フロンティアと国際社会の中国文化大革命』など <筆者の過去記事一覧はこちら

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