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韓国で日本ボイコットに反旗? 日本文化めぐり分断国家の世論割れる

2019年8月10日(土)21時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

夏休み公開を予定していた『映画ドラえもん のび太の月面探査記』も公開延期が発表された。 YTN news / YouTube

<半導体材料の輸出規制から一気に拡がった日韓の対立は、あっという間に日本の文化や訪日旅行に対しボイコットする流れが出ているが......>

ここ最近、日韓両国政府の対立が慌ただしい。連日のようにニュースで報道され、ネットでも「韓国」の文字を見ない日はない。それまでもさまざまな摩擦はあったものの、日本側が輸出管理の「ホワイト国」から韓国を除外したことで、さらに問題が深刻化している。韓国でもこの件に関する日本側の動きについて大きく報道され、政府同士の政治的な問題から始まった対立は、民間レベルにまで広がってきている。これも日本製品不買運動から「行かない/買わない/売らない」をキャッチフレーズとしたさまざまなボイコットにまでエスカレートしつつある。そして今、日本ボイコット「NO JAPAN」の波はエンターテインメントや芸術の分野にまで押し寄せてきた。

先日、元AKB48のメンバーだった竹内美宥さんが、7月末に韓国で発表するはずだった新曲のリリース延期を発表した。プロデューサーのユン・ジョンシンさんのインスタグラム投稿によると、日韓関係の悪化を考慮しての決断だという。
竹内美宥さんは、日韓共同制作の女性アイドルオーディション番組『PRODUCE 48』に参加、最終選考まで残った実績があり、この番組終了後にAKBを卒業。その後、韓国の事務所の門をたたき練習生としてトレーニングからスタートし、ミニライブなどでデビューに向けた準備を進めていた。実力派シンガーを抱える事務所からソロデビューを果たす直前での延期だけに竹内さんの落胆はいかばかりだろう。

ほかにも、Twiceなど韓国で活躍しているK-POPアイドルグループの日本人メンバーに対して、ネットで連日のように日本や日本人に対する批判が書き込まれたりしている。また、7月には日本のタンゴバンド、クワトロシエントスが、韓国の芸術の殿堂ホールでコンサートを行った際に、曲間のMC中に韓国人の聴衆のひとりが立ち上がり日本人批判を叫んだというトラブルまで起きている。

一方、今年10月に日本で開催予定の「第59回ミス・インターナショナル」では、韓国のミスコリア大会で入賞した7人が参加予定だったが、今年はボイコットする旨を発表している。また、8月1日に愛知県で開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」にて、慰安婦を象徴する少女像を含む展示が3日目で中止された。開幕から2日目で1400件を上る抗議が届き、放火予告の脅迫まであったためだ。このような大きな事件以外にもさまざまな場所で日韓関係の悪化がエンターテインメントや芸術の分野に影を落としている。

韓国音楽界の大物プロデューサー、ユン・ジョンシンが7月にリリースする予定だった竹内美宥の韓国デビュー曲リリースを延期したと告知したインスタグラム投稿。彼は毎月自身がプロデュースした曲を「月刊ユン・ジョンシン」と題してリリースしており、7月は2年前に作っていた曲を竹内に歌わせたものを出す予定だった。
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