最新記事

火山

噴火がつづくハワイ・キラウエア火山──空から宝石が降って来た

2018年6月19日(火)16時30分
松岡由希子

空から宝石が降って来た @ErinJordan/Twitter

<5月に噴火が始まったハワイ島のキラウエア火山は、大きな被害を出しているが、そんな中、上空から突然降り注いだ意外な「恵み」が地元住民を驚かせている>

米ハワイ島のキラウエア火山では、2018年5月3日に噴火が始まって以来、40日以上にわたって活発化している。一連の火山活動によって、これまでに600棟以上の家屋が破壊され、周辺地域では火山灰が降り積もり、有毒ガスの噴出や巨大な噴石の飛散のおそれがたびたび警告されるなど、住民の日常生活をも脅かしている。

空からオリビン(かんらん石)が降って来た

このように深刻な状況が続くなか、上空から突然降り注いだ意外な"恵み"が地元住民を驚かせ、世界中で話題を集めている。

この"恵み"の正体は、オリビン(かんらん石)だ。その名が示すとおり、オリーブの実に似た緑色をなし、マグネシウム、鉄、ケイ素、酸素で構成され、火成岩の主要造岩鉱物のひとつとしても知られている。とりわけ、美しい緑色のものはペリドットと呼ばれ、宝石として珍重されている。

米アリゾナ州ツーソンのローカル局で気象予報士を務めるエリン・ジョーダンさんは、キラウエア火山からの溶岩流の影響を受けた地域で暮らす友人からの近況として、地面に散らばり、美しい緑色に輝く石の画像をツイッターに投稿した。「これは文字通り"宝石の雨"。自然には本当に驚かされます。」とその感想を綴っている。

同様の現象は、地球科学教育の普及に取り組む米国の教育機関「ジオetc」のツイッターアカウントでも報告された。

これらの鉱物は、最近のキラウエア火山での噴火の猛威によって、マグマが空気中に高く噴出し、マグネシウムと鉄、ケイ素が高温で結晶化して、地面に到達する前にオリビンとして晶出されたものとみられている。つまり、熱い溶岩が空に上がり、ペリドットの"雨あられ"として地上に降ってきたというわけだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アングル:変わる消費、百貨店が適応模索 インバウン

ビジネス

世界株式指標、来年半ばまでに約5%上昇へ=シティグ

ビジネス

良品計画、25年8月期の営業益予想を700億円へ上

ビジネス

再送-SBI新生銀行、東京証券取引所への再上場を申
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中