最新記事

英王室

エリザベス女王はイスラム教の預言者ムハンマドの子孫?

2018年4月13日(金)16時20分
クリスティナ・マザ

2010年にアラブ首長国連邦・アブダビのモスクを訪問したエリザベス英女王 REUTERS

<スペイン王室との婚姻関係を通じてイスラム教の開祖と英王室の血統が繋がるという新説が登場>

イギリスのエリザベス女王はイスラム教の預言者ムハンマドの直系の子孫――モロッコの新聞が英王室の家系図をさかのぼるとイスラム教の開祖にたどり着くと報道した。

この説は1980年代の後半にも浮上したことがあり、英王室の系譜を記した『バーク貴族名鑑』によると、エリザベス女王は8~15世紀にかけてスペインを支配したイスラム王朝の血統に繋がるというものだ。

英王室研究の権威で『バーク貴族名鑑』の発行元のハロルド・ブルックスベーカーは、1986年に当時のマーガレット・サッチャー首相に宛てて、「イギリスの人々にはほとんど知られていないが、ムハンマドの血がエリザベス女王の体に流れている。イスラム教の宗教指導者は、この事実を誇りに感じている」と書いている。

その後この説は、ほとんど注目されてこなかったが、今週モロッコのアラビア語週刊紙が、スペインの当時のアンダルス(今のアンダルシア地方)のセビリアでアッバード朝を開いたアッバード1世が、エリザベス女王と繋がっているという家系図を掲載した。

英タイムズ紙が転載したこの家系図によれば、アッバード1世は、現在のサウジアラビアで632年に死亡した預言者ムハンマドの直系の子孫で、アッバード1世から繋がる英王室もムハンマドの子孫となる。

しかし歴史家は、ムハンマドと英王室が繋がっている可能性はあるものの、立証された事実ではないという。スペイン王室と英王室の婚姻関係は数世紀に渡って続き、現在の双方の王室は1837年在位の英ビクトリア女王の子孫にあたる。

ブルックスベーカーは、ムハンマドとビクトリア女王が、アッバード1世の子孫でセビリアのイスラム王国のサイーダ王女を通じて繋がっているとしている。サイーダはキリスト教に改宗し、カスティーリャ国王のアルフォンソ6世の側室となった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バングラデシュ前首相に死刑判決、昨年のデモ鎮圧巡り

ワールド

ウクライナ、仏戦闘機100機購入へ 意向書署名とゼ

ビジネス

オランダ中銀総裁、リスクは均衡 ECB金融政策は適

ワールド

お知らせ=重複記事を削除します
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中