最新記事

株式市場

米株暴落、なぜここまで深刻な下げになったかわからない

2018年2月6日(火)18時30分
ジョーダン・ワイスマン

2月5日、株価が軒並み急落した米ニューヨーク証券取引所 Brendan McDermid-REUTERS

<金曜の急落は説明がついたが、月曜午後の半狂乱は意味不明だ>

2月5日、米株式市場は波乱の展開となった。主要指数が全て暴落し、米ダウ工業株30種平均は一時1600ドル近くも下落した。より広い市場をカバーするスタンダード&プアーズ(S&P)500社株価指数は今年の上昇分を失った。人々は米経済専門チャンネルCNBCにチャンネルを合わせ、市場が「小枝のごとく折れた」原因を議論している。もしあなたがトレーダーなら、今夜は絶対にウイスキーが手放せないはずだ。

トレーダーでない我々は、とりあえずパニックに陥る理由はない。株価は上下するものだ。だがはっきりしないのは、今回の暴落がなぜこれほど深刻なものにならなければならなかったか、あるいはそれが市場の先行きに対して何を意味するかだ。

2つのポイントをまとめた。

1)株価の急落は今に始まったことではない

5日の午後、米株式相場は暴落した。アメリカの主要な株価指数であるS&P500は前週末から4.1%下落した。だが実を言うと、別に珍しいことではない。S&P500は2015年8月24日に3.94%安、その前日は3.19%安に急落した。原因は、中国株式と原油価格の下落に市場の警戒感が強まったことだった。だがみんなもう忘れただろう。以後、2016年に長期的な上昇軌道に乗るまで、株価はしばらく乱高下を続けた。

下落率では大したことはない

ダウ平均は、5日の終値が前週末比1200ドル安に迫った。大幅に見えるのは、数字を大きく見せているからだ。ニュース番組の平均的な視聴者は、ダウ平均が500ドル以上下落すれば一大事、と刷り込まれている。だがダウ平均の最高値が2万4000~2万5000ドル前後を行き来するのが日常的になった今、1000ドルの振れ幅に以前ほど大きな意味はない。比率で言えばわずか4.6%の下落だ。米紙ウォールストリート・ジャーナルの編集者は、ダウ平均の下落率が今回より大きかった日は過去に100日以上ある、とツイッターに投稿した。

株価が2営業日で急落したと言っても昨年12月末の水準に逆戻りしたに過ぎない、ということも覚えていてほしい。もしあなたが1年前にS&P500に投資していれば、5日の急落後も約15%の上昇率を確保している。

2)なぜあれほど売られたか理由が不明

特定の日に株式市場が上下に揺れ動く要因を正確に説明するのはほぼ不可能だし、それを試みること自体が無駄、という人もいる。多くの場合はまさにその通りだが、今回は下落の半分は説明がつく。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウクライナ向けトマホーク承認も ロが戦

ワールド

トランプ氏「ガザ戦争は終結」、人質解放待つイスラエ

ビジネス

主要行の決算に注目、政府閉鎖でデータ不足の中=今週

ワールド

中国、レアアース規制報復巡り米を「偽善的」と非難 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリカを「一人負け」の道に導く...中国は大笑い
  • 4
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 6
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 7
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 8
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 9
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 10
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中