最新記事

北朝鮮情勢

【北朝鮮情勢】米軍の地上侵攻はどんな戦争になるか

What Would an Invasion of North Korea Look Like?

2017年11月7日(火)18時15分
ジョン・ホルティワンガー

パラシュート部隊も重要な役割を果たす(写真はラトビアでの演習) Ints Kalnins-REUTERS

<地上侵攻は北朝鮮の核兵器を破壊するためのもの。もし北が先に核のボタンを押せば、攻撃されるのは在日米軍と在韓米軍だ>

アメリカが北朝鮮を地上侵攻したら、どれほどの犠牲が出るか。「流血の大惨事になる」と、専門家は警告する。

米軍の最高機関である米統合参謀本部は10月下旬、北朝鮮が開発する核兵器や関連施設を「完全に破壊する」ためには、地上侵攻しかないという見解を示した。北朝鮮の金正恩政権の内部情報がほとんどなく、核兵器や通常兵器の保管場所もほとんど把握できていないため、標的ありきの空爆では完全に破壊することができないのだ。

地上戦が避けられないとしたら、それは具体的にどんな戦争になるのか。専門家に聞いた。

米軍が地上侵攻に踏み切るとしたら、それは多面的な軍事作戦の一部になるだろうと、英シンクタンク国際戦略研究所(IISS)ワシントン所長のマーク・フィッツパトリックは本誌に語った。

地上侵攻の主力は韓国軍で、米軍の特殊部隊は諜報活動や後方支援を担うだろう。「地上侵攻の要は、北朝鮮の核兵器や関連施設を掌握することだ。問題は、それらの位置を特定できるかどうかだ」とフィッツパトリックは言う。

朝鮮戦争では数百万人が犠牲に

だが地上侵攻に先駆けて、まずは米空軍のF22ステルス戦闘機やB2ステルス戦略爆撃機などが、すでに場所がわかっている北朝鮮の核関連施設や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射台を攻撃する。その後、米軍と韓国軍の特殊部隊がパラシュートで北朝鮮に降下し、核兵器の保管場所を特定して無力化する。この作戦は戦いの「かなり早い段階で」実施されるはずだと、米政府で対北朝鮮政策を担当したこともあるフィッツパトリックは言う。

「米韓両軍は対立が戦争にエスカレートする前に核兵器を掌握しようとするだろう。北朝鮮の核攻撃だけは阻止しなければならない」

北朝鮮との戦争では「非常に短期間で相当数の死者が出る」とフィッツパトリックは警告する。実際、朝鮮戦争では約3万3000人の米軍兵士を含め数百万人が犠牲になった。たとえ核兵器が使われなくても、北朝鮮と韓国の死者は戦闘開始後あっという間に100万人以上に達すると、フィッツパトリックはみている。

「北朝鮮は恐らく、戦闘開始後のできるだけ早い段階で核攻撃を行おうとすうるだろう。攻撃対象はたぶん在日米軍か在韓米軍、もしくはその両方だ」

ただしアメリカが北朝鮮の金正恩政権を相手にわざと戦争を始めるとは思わないと、フィッツパトリックは言う。「米朝戦争が勃発するとしたら、最もありそうなのは、米政府の声明や行動を北朝鮮が誤解した時だ」

ニュース速報

ビジネス

「観光促進税」、LCCに少し影響大きい可能性=AN

ワールド

レバノン軍トップ、イスラエルとの国境地帯の警戒強化

ビジネス

豪中銀総裁、利上げの「強い根拠」ない 長期据え置き

ワールド

米少年兵禁止法、ティラーソン国務長官の決定に省内で

MAGAZINE

特集:北朝鮮の歴史

2017-11・28号(11/21発売)

核・ミサイル開発に日本人拉致問題、テロ活動...... 不可解過ぎる「金王朝」を歴史で読み解く

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    北朝鮮「亡命兵士」の腸が寄生虫だらけになった理由

  • 2

    北朝鮮問題、中国の秘策はうまくいくのか――特使派遣の裏側

  • 3

    北朝鮮「亡命兵士」の命を脅かす寄生虫の恐怖

  • 4

    北朝鮮「兵士亡命」が戦争の引き金を引く可能性

  • 5

    アメリカは「安倍トラ」に無関心

  • 6

    日本に定住した日系ブラジル人たちはいま何を思うのか

  • 7

    堤未果:アメリカを貧困大国にしトランプ大統領を誕…

  • 8

    「嫌な気持ちは寝て忘れちゃえ」は逆効果?

  • 9

    トランプは金正恩を利用しているだけ、戦争する気は…

  • 10

    北朝鮮、米本土に到達可能な弾道ミサイルを年内に開…

  • 1

    北朝鮮「亡命兵士」の腸が寄生虫だらけになった理由

  • 2

    北朝鮮「兵士亡命」が戦争の引き金を引く可能性

  • 3

    北朝鮮「亡命兵士」の命を脅かす寄生虫の恐怖

  • 4

    サンフランシスコ「従軍慰安婦像」への大阪市対応は…

  • 5

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 6

    飛び級を許さない日本の悪しき年齢主義

  • 7

    子供を叩かないで! 体罰の影響を科学的に研究 

  • 8

    アメリカで黒人の子供たちがたたき込まれる警官への…

  • 9

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 10

    米空母3隻と自衛隊が共同訓練、米軍の士気高い

  • 1

    北朝鮮「亡命兵士」の腸が寄生虫だらけになった理由

  • 2

    北朝鮮の電磁パルス攻撃で「アメリカ国民90%死亡」――専門家が警告

  • 3

    北朝鮮「兵士亡命」が戦争の引き金を引く可能性

  • 4

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 5

    北朝鮮「亡命兵士」の命を脅かす寄生虫の恐怖

  • 6

    人はロボットともセックスしたい──報告書

  • 7

    北朝鮮経済の「心臓」を病んだ金正恩─電力不足で節約…

  • 8

    トランプは宣戦布告もせず北朝鮮を攻撃しかねない

  • 9

    北朝鮮危機「アメリカには安倍晋三が必要だ」

  • 10

    「トランプ歓迎会に元慰安婦」の陰に中国?

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

全く新しい政治塾開講。あなたも、政治しちゃおう。
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 特別編集

最新版 アルツハイマー入門

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2017年11月
  • 2017年10月
  • 2017年9月
  • 2017年8月
  • 2017年7月
  • 2017年6月