最新記事

日本経済

経産省、神戸製鋼所にデータ改ざん究明指示 納品先にも安全検証要請

2017年10月10日(火)19時27分

10月10日、経済産業省は、神戸製鋼所 がアルミ・銅製品の性能データを改ざんしていた問題で、同社に対して違法性や安全性で問題がないか事実関係を調べ、原因究明と再発防止策を講じるよう指示したことを明らかにした。写真は会見する経産省幹部、10日撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

経済産業省は10日、神戸製鋼所 <5406.T>がアルミ・銅製品の性能データを改ざんしていた問題で、同社に対して違法性や安全性で問題がないか事実関係を調べ、原因究明と再発防止策を講じるよう指示したことを明らかにした。

問題のある製品を使っている企業に対しても、安全性の検証を急ぐよう求めた。検証結果によっては、大規模なリコール(無料の回収・修理)に発展する可能性もある。

神戸製鋼は8日、自動車や航空機などに使われているアルミや銅の製品の一部について、強度などを示す検査証明書のデータを書き換え、顧客と契約した製品仕様に適合しているように見せかけ出荷していたと発表した。

これについて、会見した製造産業局の小見山康二金属課長は「公正な取引基盤を揺るがす不適切な行為で、大変重く受け止めている」と指摘。神戸製鋼に対して、1)違法性の有無や、安全性上問題がないかを含めて事実関係を明らかにする、2)顧客に情報提供し、適切に対応する、3)今回の事案を公表する、4)できるだけ早く原因究明と再発防止策を講じる――の4点について指示したことを明らかにした。

処分の可能性については「アルミの製造事業に関しては業法がないので、それに基づく処分のスキームがない」とした上で「現時点で法令違反が認められるわけではないので、法律に基づく処分は想定していない」と語った。

ただ、神戸製鋼をめぐっては、昨年もグループ会社の神鋼鋼線ステンレスが、ばね用ステンレス鋼線の一部で強度データを改ざんしていたことが発覚している。小見山課長は「昨年に続く不祥事にあることに加え、納入先の広がりや管理職の関与、社会全体への影響を考慮すると、行政として追加的な対応をとり得るか検討していきたい」とも付け加えた。

神戸製鋼が過去1年間(昨年9月から今年8月まで)に出荷した製品を調査したところ、アルミ製品約1万9300トン、銅製品約2200トンでデータの改善が発覚した。広報担当者によると、この数量はこの期間に出荷したアルミ・銅製品の4%に相当、出荷先は約200社にのぼるという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アリババや百度やBYDは中国軍関連企業、米国防総省

ビジネス

中国、米大豆を少なくとも10カーゴ購入 首脳会談後

ワールド

マクロン仏大統領が来週訪中へ、習主席と会談

ビジネス

米ホワイトハウス付近で銃撃、州兵2人重体 容疑者は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中