最新記事

日本外交

対北朝鮮「圧力一辺倒」は日本だけ?

2017年10月10日(火)17時20分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

安倍晋三首相 Y.shino-REUTERS

中露は対話路線を主張し、韓国も対話を模索。何よりもアメリカが対話模索を公言したのは大きい。日本も水面下では模索しているかもしれないが、表面上は圧力一辺倒。対北朝鮮関係国中、老獪な戦術の違いが鮮明に。

極めて友好的な会談に隠れているもの

中国とロシアは今年7月に共同声明を出し、「双暫停」(北朝鮮もアメリカも暫時、軍事行動を停止し、対話のテーブルに着け)を目標とすることを宣言し、「対話路線」を強調した。軍事行動で問題を解決することに反対している。

くり返しになるが、8月10日に中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」が社説で、「もし北朝鮮がアメリカ領を先制攻撃し、アメリカが北朝鮮に対して報復攻撃した場合、中国は北朝鮮に対して中立を保つ(中朝軍事同盟は無視する)」という立場を鮮明にしたことを受けて、北朝鮮は米領グアム沖へのミサイル発射を断念。だというのに、アメリカは夏の米韓軍事合同演習を断行した。その直前に日本はアメリカと「2プラス2」の外交国防会議を開き、軍事演習を支援する声明を発表。これにより北朝鮮はグアム沖への発射を断念する代わりに、日本国上空を飛翔するミサイルを撃ち始めた。北の(一瞬の、しかし、この段階ではあり得ない)譲歩に呼応しなかったのはアメリカではあるものの、それを後押ししたのは「日本だ」だ。以来、「日本帝国主義打倒!」「アメリカの犬!」「日本を沈没させよ!」といった、「打倒日本」に関するイデオロギー面までが加わったことが特徴だ。

10月4日に書いたコラム「北朝鮮はなぜ日本を狙い始めたのか」には、この要素を加えなければならなかったが、このことは既に9月4日のコラム<中国が切った「中朝軍事同盟カード」を読み切れなかった日米の失敗>で詳述していたので、その要素は省略した。誤解を生ぜしめたとすれば、お詫びしたい。

また、9月19日のコラム「北朝鮮暴走に対する中国の見解――環球時報社説から」に書いたように、「北朝鮮は日本国本土に着弾させる大胆さは持っていない」と中国は見ているものの、北朝鮮が打倒日本を叫び始めたことに対する中国側からの批判はない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、石炭火力発電支援へ 国防総省に電力契約

ワールド

EU、CO2無償排出枠の見直し検討 炭素市場改革

ビジネス

パラマウント、WBD買収条件引き上げ 違約金など負

ビジネス

円続伸し153円台後半、ドルは弱い指標が重し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 5
    崖が住居の目の前まで迫り、住宅が傾く...シチリア島…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中