最新記事

日本経済

神戸製鋼所、新たに9製品で不正発覚 納入先は500社に拡大

2017年10月13日(金)19時20分

10月13日、神戸製鋼所は、これまでに性能データ改ざんが発覚したアルミ・銅製品などに加え、グループ会社においてさらに銅合金管・モールドなどの9製品で検査データ書き換えなどの不正行為があった、と発表した。写真は謝罪する川崎博也会長兼社長。都内で撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

神戸製鋼所<5406.T>は13日、これまでに性能データ改ざんが発覚したアルミ・銅製品などに加え、グループ会社においてさらに銅合金管・モールドなどの9製品で検査データ書き換えなどの不正行為があった、と発表した。

アルミ・銅部門で不正が発覚した際には200社としていた納入先は、500社に拡大している。

13日に発表した9製品のうち5製品は、安全性を含む品質影響について技術的検証を進めている。一方、4製品については、一連の自主検査などの前に起きていた案件で、社内では把握していたという。ただ、すでに、顧客と共に製品の安全性に問題がないことを確認しており、対外公表はしていなかった。

あらたな不正案件が出る可能性について、川崎博也会長兼社長は会見で「経済産業省からも、これ以上の不正事案がないか早期に調査完了するように言われている。今、全事業部で調査中。アルミ・銅はほぼ終えており、鉄鋼、機械、電力で実施中だ」と述べた。

自らの進退については「現在の使命は、メーカーがやっている安全性の検証の最大限の支援と対策。まずはそれに全力を傾注したい。その後進退に関する議論はあるかもしれないが、その時考える」と述べた。

原因分析と対策は、今後1カ月以内にまとめる予定。

リコール費用負担は腹積もり

納入先企業からリコール費用の負担要請があった場合について、川崎社長は「具体的な金額の提示はないが、負担の腹積もりは当然している」と述べた。

対象となる部材の供給先は、明らかにしなかったが、国内自動車メーカー、航空・防衛産業、JRなどの鉄道会社に加え、独ダイムラー、欧州航空機大手エアバス、米航空機大手のボーイングなど海外企業にも広がっている。

アルミ・銅製品はデータ改ざんを発表した際、対象となった製品の売り上げの4%としていたが、その後の事案を含めても「あまり数字は変わらない」とした。

同社は、自動車軽量化に向けた素材の開発・提供に注力してきた。今回は、アルミ・銅部門などがデータ改ざんを行っていたが、川崎社長は、これまでの戦略の方向性に変わりはないとした。

(清水律子 志田義寧)

[東京 13日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

OPEC月報、石油需要予想据え置き 年後半の世界経

ビジネス

米GM、ガソリンエンジン搭載ピックアップとSUV増

ワールド

トランプ氏「ベセント氏は次期FRB議長の選択肢」、

ビジネス

FRB、インフレ抑制へ当面の金利据え置き必要=ダラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 5
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 6
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 7
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 8
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中