北朝鮮「ロケット米全土到達」警告にトランプ反発 米朝、非難の応酬
9月23日、北朝鮮の李容浩外相は、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と呼んだトランプ大統領の発言を、「北朝鮮のロケットが米国本土に到達することを不可避にした」と非難。写真は平壌で米国に抗議するデモ。KCNA提供(2017年 ロイター)
北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は23日、ニューヨークで開催中の国連総会で演説し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と呼んだトランプ米大統領の発言を「北朝鮮のロケットが米国本土に到達することを不可避にした」と強く非難した。
北朝鮮の核・ミサイル開発を巡る米朝の対立は一段と激しくなっている。
李外相の演説を受け、トランプ米大統領は同日、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相の国連総会での演説を受け、「小柄なロケットマンの考えに同調するならば、彼らの先は長くない」とツイッターに投稿した。
「彼らの先は長くない」と警告したトランプ大統領が、「彼ら」という表現で李外相と金委員長に言及したのか、あるいは北朝鮮全体について述べたのかは明らかになっていない。
米軍機が威嚇飛行
米国防総省によると、李外相の演説の数時間前、米空軍の戦略爆撃機「Bー1B」数機が護衛の戦闘機とともに北朝鮮の東方沖合の国際空域を威嚇飛行した。米軍の戦闘機・爆撃機としては今世紀に入って最も北の位置まで飛行したという。
国防総省報道官は今回の飛行任務について「米国の決意を示すとともに、トランプ大統領が脅威に対抗するため多くの軍事的選択肢を持っていることを明示した」と説明。「われわれは米国と同盟国を守るため、すべての軍事力を行使する用意がある」と述べた。
とまらない言葉の応酬
トランプ大統領は今週、国連で行った演説で、金委員長を「ロケットマン」と表現し、「ロケットマンは自爆任務に就いている」と発言。米国は北朝鮮を「完全に破壊」せざるを得なくなる可能性があると警告した。これを受けて金委員長は、トランプ大統領は「精神が錯乱している」とし、大統領の警告に対し「史上最高の強硬対抗措置」を検討すると表明した。
トランプ大統領は22日、ツイッターで金委員長を「狂った男」と表現。
これに対し、李外相は演説で、トランプ大統領を「悪の大統領」と呼び、トランプ氏自身が「自殺任務」に就いていると反論。米国が北朝鮮指導部の排除あるいは北朝鮮への軍事攻撃の兆候を示す場合、北朝鮮に自衛の用意はできていると警告した。
同相は「われわれは核戦力の完成まであと数歩の段階にある」と表明。国際社会からの制裁は核兵器開発に向けた北朝鮮の決意に何ら影響を与えないと述べ、最終的には米国との力の均衡を目指すとした。