最新記事

アメリカ政治

トランプ、議会に圧力 税制改革の必要性アピール

2017年8月31日(木)08時45分

8月30日、トランプ米大統領は国内の法人税率について、15%への引き下げが依然望ましいとした上で、法人税減税は国の競争力を取り戻すために不可欠との認識を示した。写真は同日、ミズーリ州で税制改革について話すトランプ大統領(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)

トランプ米大統領は30日、税制改革について演説し、雇用創出に向けて「米国のための」法人税減税が必要だと訴えた。議会での合意が必要だと強調し、民主党にも協力を求めたが、具体策は示さなかった。

ミズーリ州スプリングフィールドで行った演説で、大統領は国内の法人税率について、15%への引き下げが依然望ましいとした上で、法人税減税は国の競争力を取り戻すために不可欠との認識を示した。

トランプ氏は演説で「米国で雇用を維持し、雇用を創出するとともに、労働者を獲得するために、米国の法人税率を引き下げねばならない。理想としては税率を15%に引き下げたい」と語った。

ただ、議会では現行35%の法人税率について、25%への引き下げで合意できるかどうかも不透明とみられている。また、アナリストやロビイストの間では税制改革法案の年内可決に悲観的な見方が広がっており、包括的な改革ではなく単純な減税にとどまるとの観測も一部で出ている。

トランプ氏は演説で、議会が医療保険制度改革法(オバマケア)見直しで合意できなかったことなどを念頭に「議会に落胆させられたくない」と強調、「議会は復活を遂げるだろう。そう願う。米国がそれを期待している」と述べた。

大統領は、法人税減税を行えば経済成長が押し上げられ、米企業の競争力が高まることから、賃金上昇につながるとしているが、民主党は、こうした考えが過去数十年間に労働者と富裕層の格差拡大の原因になったとして否定的だ。

下院歳入委員会の民主党トップであるリチャード・ニール議員は「トランプ大統領がこれまでに示してきた税制改革案を踏まえると、富裕層や大企業が最終的な勝者になる」との見方を示した。

一方、共和党のライアン下院議長は「(改革)実現に向けた決意でわれわれは団結している」と表明した。

トランプ大統領は税制改革の原則として、簡潔性、競争力のある税法、中間層向け減税、国際的な法人税の改革の4つを挙げた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回要求 国連総長に書簡

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 7
    Spotifyからも削除...「今年の一曲」と大絶賛の楽曲…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中