最新記事

核兵器

世論調査に見る米核攻撃の現実味

2017年8月29日(火)17時30分
フレッド・カプラン(スレート誌コラム二スト)

注目すべきは、広島への原爆投下前にもヘンリー・スティムソン陸軍長官がトルーマンに同様の提言をしていた点だ。日本の天皇が象徴としてとどまることを認めるという条件で降伏を勧告する案だった。だがトルーマンはこれを却下し、前任者フランクリン・ルーズベルト同様「無条件降伏」に固執した。

スティムソンの提言は戦後も長いこと公にされなかった。当時公になっていたら国民がどう感じたかは分からない。だがセーガンとバレンティノによれば、1945年のある世論調査ではアメリカ人の23%が、日本が降伏する可能性があったなら、(もっと早い段階で)さらに多くの原爆を投下すべきだったと回答したという。

「現在は日本をそんなふうに見るアメリカ人はほとんどいないが、太平洋戦争の長く命懸けの戦いが生んだ時代遅れの感情として片付けるのは間違いだ。私たちの調査は暗い真実を浮き彫りにする。今でも45年当時と同様、相当な数のアメリカ国民が、アメリカを攻撃した敵に対しては、外交による戦争終結の選択肢が提示された場合でも核兵器を使いたがるだろう。彼らに核兵器使用への嫌悪感はない。魅力のほうが勝っている」

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
 ご登録(無料)はこちらから=>>

© 2017, Slate

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午前のドルは157円半ば、10カ月ぶり高値 円安け

ワールド

スロバキア、ロシア産ガス供給停止計画巡りEU提訴検

ワールド

米の対スイス関税、数日中に引き下げ見込み

ビジネス

英パリサーが日本郵政の価値向上策、株価は「過小評価
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、完成した「信じられない」大失敗ヘアにSNS爆笑
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    衛星画像が捉えた中国の「侵攻部隊」
  • 8
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 9
    ホワイトカラー志望への偏りが人手不足をより深刻化…
  • 10
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 7
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中