最新記事

ミサイル

北朝鮮、ミサイル発射し北海道上空通過 通告なく高まる緊張

2017年8月29日(火)19時10分

 8月29日、北朝鮮は午前5時57分ごろ、弾道ミサイルを発射した。写真中央は北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長。KCNAが25日提供(2017年 ロイター)

北朝鮮は29日早朝、同国西岸から弾道ミサイル1発を発射した。ミサイルは日本上空を通過し、北海道襟裳岬の東方約1180キロの太平洋上に落下した。国際社会が自制を求めてきたミサイル発射を強行し、さらに事前通告なしに日本を飛び越える打ち方をしたことで、北朝鮮を巡る緊張は一段と高まる恐れがある。日米は首脳が、米韓は外相が電話で会談し、北朝鮮への圧力を強めることで一致した。

韓国軍は空爆演習で対抗

北朝鮮のミサイルが日本本土の上空を通過したのは2009年以来。1998年にも同様の打ち方をしており、その際は今回のように事前通告がなかった。安倍晋三首相は記者団に、「我が国を飛び越えるミサイル発射という暴挙は、これまでにない深刻かつ重大な脅威」と述べた上で、国連安全保障理事会の招集を要請した。

安倍首相はトランプ米大統領と電話で40分会談。その後に記者団に対し「北朝鮮に圧力をさらに強めていくということで日米は完全に一致した。強い圧力をかけ、彼らの政策を変えなければならない」と語った。ティラーソン米国務長官と韓国の康京和(カンギョンファ)外相も、北朝鮮への制裁強化を議論することで合意した。韓国空軍は戦闘機が爆撃訓練も行った。

一方、中国は外務省報道官が、圧力一辺倒では問題解決につながらないと日米韓をけん制した。同時に、北朝鮮が国連決議に反して弾道ミサイルを発射することに反対した。

北朝鮮がミサイルを発射したのは午前5時58分ごろ。日本政府によると、ミサイルは日本上空を通過し、北海道襟裳岬の東方約1180キロに落下した。当初は3つに分裂したとしていたが、その後、分裂したかどうか分析中と修正した。韓国軍によると、ミサイルは2700キロメートル飛行、高度は550キロに達した。

日本は発射時からミサイルを追跡。領域内へ落ちる恐れがないと判断し、迎撃ミサイルによる破壊措置は実施しなかった。ミサイルは排他的経済水域(EEZ)に着水し、日本領域内への落下物は確認されていない。

日本はミサイル迎撃能力があるイージス艦を日本海に常時展開している。地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」の高射隊も全国17カ所に配置している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独経済団体、半数が26年の人員削減を予想 経済危機

ワールド

中国軍、台湾周辺で実弾射撃伴う演習開始 港湾など封

ビジネス

韓国クーパン、顧客情報大量流出で11.8億ドルの補

ワールド

尹前大統領の妻、金品見返りに国政介入 韓国特別検が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中