最新記事

領土問題

にらみ合う中国・インドの軍部隊 国境紛争じわじわと再燃

2017年8月18日(金)17時00分

アジアの経済大国である中国とインドの2国間貿易が急増しているのとは裏腹に、今回の国境地帯における危機は、両国の外交関係が悪化した1年を象徴する出来事といえる。

インドは、最大のライバルであるパキスタンと中国との関係に懸念を強めており、インドが領有権を主張するカシミール地方を通る彼らの通商回廊は領有権の侵害とみなしている。

モディ首相は、中国の習近平国家主席が主導するシルクロード経済圏構想「一帯一路」に参加するのを拒否した。

一方の中国は、インドに対し、日本を含む米国主導の西側の軍事同盟に近づかないよう求めている。モディ首相は日米との関係強化を模索している。

「今回の対立にハッピーエンドはないだろう」と、インド外交政策の専門家であるC・ラジャ・モハン氏は印紙インディアン・エクスプレスでこのように指摘。インドが屈する可能性は低いとの見方を示した。

前出の2人目の関係筋は、来月に中国で開催されるBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国)首脳会議に影響する可能性への懸念を示した。

人海戦術

インド軍当局者の話では、海抜3000メートルのドクラム高地で2カ月近く続いている、約300人の兵士がわずか100メートル離れた場所で対立している状況において、両軍ともに兵士増強はないという。

だが中国は、インドが部隊を集結させていると非難。国営メディアは1962年の中印国境紛争での敗北よりもひどい結末が待っていると警告している。

「われわれは問題を解決するため、中国と向き合っている。戦争では問題を解決できない」と、インドのスワラジ外相は議会でこう述べ、融和姿勢を改めて示した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ東部の要衝ポクロウシクの攻防続く、ロシア

ワールド

クック理事、FRBで働くことは「生涯の栄誉」 職務

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、FRB12月の追加利下げに

ビジネス

キンバリークラーク、「タイレノール」メーカーを40
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中