最新記事

ミサイル

米朝が激しい応酬、北朝鮮「グアムのミサイル攻撃を検討」

2017年8月9日(水)13時22分

8月9日、北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)は、同国が米領グアムへのミサイル攻撃を「入念に検討」していると伝えた。ジュネーブの北朝鮮大使館で2014年2月撮影(2017年 ロイター/Denis Balibouse)

朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)は9日、同国が中長距離弾道ミサイル「火星12」を米領グアム周辺に向けて発射する作戦を「慎重に検討」していると伝えた。

KCNAによると、朝鮮人民軍の報道官は、金正恩朝鮮労働党委員長が命令を下せば直ちに攻撃計画が「複数回にわたり連続的に実行される」と述べた。

「朝鮮人民軍戦略軍はグアム周辺地域を中長距離弾道ミサイル火星12で包囲射撃する作戦計画を慎重に検討している」と言明。グアムにあるアンダーセン空軍基地など主要な米軍基地に対する抑止力を確保する狙いがあるという。

報道官は、作戦計画は近く最高司令部に報告されるとした。

また、別の軍報道官は、米国が「予防戦争」を計画していると批判し、実行に移す動きがあれば「米本土を含む敵の要塞を一掃する全面戦争」で対抗すると威嚇。

軍事行動を回避するために米国は北朝鮮に対する「無分別な軍事的挑発」をやめるべきだと主張した。

トランプ米大統領はこの数時間前、北朝鮮が米国をこれ以上脅かせば「世界がこれまで目にしたことのないような炎と怒りに直面することになる」と発言していた。

<米朝の激しい応酬に世界の市場が動揺>

エスカレートする米朝の応酬に、世界の金融市場は動揺している。トランプ大統領の発言を受けて米国株式市場は小幅ながら下落。S&P株価指数先物はアジア時間に下げ幅を広げた。投資家の不安心理を示すVIX指数<.VIX>は約1カ月ぶりの高水準で取引を終えた。

北朝鮮からの反応が伝わると、ドル指数<.DXY>は軟化、安全通貨とされる円は対ドルで上昇した。アジア株は総じて下落している。

ジョンズ・ホプキンズ大のスティーブ・ハンケ教授はロィター・グローバル・マーケッツ・フォーラムで「北朝鮮に後退する意思はない。緊張は今後も高まり、想定外の事態につながりかねない」と指摘した。

日本の防衛省は9日、航空自衛隊のF2戦闘機2機と米空軍のB-1B戦略爆撃機2機が九州周辺で8日に共同訓練を行ったと発表した。

グアムにある米軍のアンダーセン空軍基地の報道官によると、9日朝方の時点では、同基地における警戒水準は変更されていないという。

[ソウル 9日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマーで総選挙投票開始、国軍系政党の勝利濃厚 

ワールド

米、中国の米企業制裁「強く反対」、台湾への圧力停止

ワールド

中国外相、タイ・カンボジア外相と会談へ 停戦合意を

ワールド

アングル:中国企業、希少木材や高級茶をトークン化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中