最新記事

難民

法務省、留学・実習生の難民申請後の就労不可とする制度検討

2017年7月2日(日)11時19分

6月30日、法務省は、近年増加している難民申請について「就労目的の制度乱用」を減らすため、留学生や技能実習生を対象に、在留期間後の就労を認めず、入管施設に収容する制度の導入を含めて検討していることが分かった。写真は東京入国管理局。2015年12月撮影(2017年 ロイター/Yuya Shino)

法務省は、近年増加している難民申請について「就労目的の制度乱用」を減らすため、留学生や技能実習生を対象に、在留期間後の就労を認めず、入管施設に収容する制度の導入を含めて検討していることが分かった。

30日付の読売新聞は、難民認定制度について「法務省が来月中にも、新たな偽装(難民申請)対策を導入する」と報じた。現在は、申請6カ月後から日本での就労が許可されているが、実習生や留学生の在留資格を持つ申請者は、在留期限後に速やかに入管施設に強制収容し、就労できなくすることで申請数の急増に歯止めをかけたい考え、としている。

この報道について法務省入管局難民認定担当者は「乱用・誤用的な難民申請に対処するために、現在取っている対策の効果を検証しつつ、読売新聞で記事になっている案も含めてさらなる対策について検討している」と回答した。

ただ、導入の時期や内容の詳細は検討中、としている。

留学生・技能実習生が対象になっている理由について入管では「留学生・技能実習生からの申請が増えている。その中には就労等を意図した誤用的な申請が相当数存在する」との見解を示した。

難民問題に詳しい駒井知会弁護士はロイターに対し、「留学中の政治活動が原因で帰国が危険になったり、留学しながら本国での迫害の危険が収まるのを待っていてかなわず、難民申請を余儀なくされる人もいるなか、いたずらに就労機会を奪うことには人道上、深い危惧を覚える」と述べている。

日本では2016年に過去最多の1万0901件の難民申請があり、難民と認定されたのは28人だった。申請のうち技能実習生は1106人、留学生は1399人だった。

(舩越みなみ、宮崎亜巳)

[東京 30日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イラン大統領、16年ぶりにスリランカ訪問 「関係強

ワールド

イランとパキスタン、国連安保理にイスラエルに対する

ワールド

ロシア、国防次官を収賄容疑で拘束 ショイグ国防相の

ワールド

インドネシア中銀、予想外の利上げ 通貨支援へ「先を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 10

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中