最新記事

ハッカー

サイバーテロ世界で被害拡大 5月の攻撃と合わせ損失額80億ドルに

2017年6月29日(木)10時52分

6月28日、大規模なサイバー攻撃は世界各地で被害が拡大、各企業が対応に追われた。フェデックスでもオランダの子会社がが大きな影響を受けた。サンディエゴで2014年撮影(2017年 ロイター/Mike Blake)

27日に発生した大規模サイバー攻撃は、一夜明けた28日もインドなどの港で操業に影響が生じ、オーストラリアのチョコレート工場で生産が止まるなど、世界各地で被害が拡大、各企業が対応に追われた。

リスクモデル構築を手掛ける米サイエンスによると、今回の攻撃と5月に発生したランサムウエア(身代金要求型ウイルス)「ワナクライ」を使った攻撃による経済損失は合わせて80億ドルにのぼる見通しだ。

今回の攻撃は、専門家の間で「GoldenEye」または「Petya」と呼ばれるウイルスが使われたとみられている。

デンマークの海運・石油大手、モラー・マースクは注文処理などに支障が出て、傘下企業が運営する76港の一部が過密状態となった。

マースクは28日夜、システムが復旧したことを明らかにした。

米宅配大手のフェデックスは、傘下オランダのTNTエクスプレスが大きな影響を受け、中国国有穀物会社の中糧集団(COFCO)が運営するアルゼンチンの港湾など南米にも被害が拡大した。

仏金融大手BNPパリバの不動産部門や米製菓モンデリーズ・インターナショナルなども影響を受けたほか、オーストリアでも少数の国際的企業が被害を受けた。

警察やサイバー問題の専門家によると、ウイルスは前日、ウクライナで確認されたとみられる。ユーザーらが人気の税会計ソフトをダウンロードした後か、地元のニュースサイトを閲覧した後に、コンピューターに感染したという。

影響を受けた複数の国際的企業が、ウクライナで事業を展開している。世界中に張り巡らせた企業ネットワークを通して感染が拡大したとの見方が出ている。

スロバキアのセキュリティソフト会社ESETは、攻撃の影響を受けた同社の顧客のうち8割がウクライナで感染し、次いでイタリアでの感染が1割程度を占めたと明らかにした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ネタニヤフ氏、イランの体制崩壊も視野 「脅威取り除

ワールド

トランプ氏、イスラエルとイランの停戦合意を期待

ビジネス

仏ルノーCEOが退任へ、グッチ所有企業のトップに

ワールド

トランプ氏の昨年資産報告書、暗号資産などで6億ドル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中