最新記事

アメリカ政治

トランプ氏の「ロシア疑惑」捜査、特別検察官の任命でどうなる

2017年5月18日(木)15時23分

5月17日、「ロシア疑惑」を巡る独立捜査を指揮する特別検察官に、ロバート・モラー元FBI長官(写真)が任命された。今後の展開を予想した。写真は2013年6月、米議会で撮影(2017年 ロイター/Yuri Gripas)

ロシアによる米大統領選に対する介入や、トランプ陣営との癒着の可能性を巡る独立捜査を指揮する特別検察官に、ロバート・モラー元米連邦捜査局(FBI)長官が任命された。米司法省が17日発表した。

トランプ大統領が、コミーFBI長官を9日に解任したことで、「ロシア疑惑」に関するFBI捜査の今後を危ぶむ声が出ていた。

特別検査官の任命により、今後予想される展開は以下の通り。

●現在のFBI捜査は継続

コミー長官は解任されたが、FBIによる米大統領選へのロシア介入疑惑捜査は終結していない。法律専門家によると、ホワイトハウスが後任の人選を進める間にも、コミー氏が任命したキャリア捜査官が捜査を続ける可能性が高い。

●議会で進められている捜査も継続

上院と下院の情報特別委員会や、その他の委員会で進められている調査も同様に継続する。また議会は、モラー氏が特別検察官に任命された後も、特別委員会を設置したり、議会調査とは別に、(調査を行う)スペシャル・マスターを任命することができると専門家は指摘する。

上院共和党では過去に、特別検察官が任命されれば、議会による調査が邪魔されるとの懸念が指導部からも出ていた。モラー氏には、議会調査の停止を求める権限はない。刑事事件としての捜査が、議会による調査を複雑にする場合はある。だが、法律専門家によると、特別検察官による捜査はその点、現在進行中のFBIの捜査となんら変わらない。

●モラー氏は、司法省で並行して捜査を行う

モラー氏は、関係する証人に事情聴取し、関係書類を召喚し、十分な証拠があれば、FBIと協力して刑事訴追を行う。

●モラー氏は、トランプ政権から相当程度の独立性を確保する

ローゼンスタイン副長官は、司法長官が連邦政府の外から特別検察官(special counsel)を起用することができるという省規定を根拠に、モラー氏に同省によるロシア関連捜査の指揮を執るよう任命した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CB景気先行指数、8月は予想上回る0.5%低下 

ワールド

イスラエル、レバノン南部のヒズボラ拠点を空爆

ワールド

米英首脳、両国間の投資拡大を歓迎 「特別な関係」の

ワールド

トランプ氏、パレスチナ国家承認巡り「英と見解相違」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中