最新記事

金融

トランプの支離滅裂な政策で市場攪乱 ドルはジェットコースター相場に

2017年2月5日(日)20時42分

2月2日、トランプ米政権は、ドル高をけん制する発言を繰り返す一方で、ドル高と合致する経済政策を標ぼうしている。相矛盾する姿勢に翻弄され、ドル相場は今後、乱高下しやすくなりそうだ。都内の為替トレーディングルームで1月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

トランプ米政権は、ドル高をけん制する発言を繰り返す一方で、ドル高と合致する経済政策を標ぼうしている。相矛盾する姿勢に翻弄され、ドル相場は今後、乱高下しやすくなりそうだ。

トランプ大統領と米国家通商会議(NTC)のナバロ委員長は今週、ドイツ、日本、中国の3カ国について、通貨安を通じて米国の輸出競争力を損ねていると批判。安倍晋三首相とメルケル独首相はこれに反論した。

トランプ氏は選挙期間中から、米国の製造業に活気と雇用を取り戻すことを政策の中心に掲げてきたため、こうした姿勢は驚くに足らない。ドル安はこの政策を達成するために役立つだろう。

しかしトランプ氏は同時に、減税や財政支出の拡大、米企業による海外利益の本国還流を通じて米国の経済成長を押し上げる意向も示している。これらは金利の上昇およびドル高と相性が良い。

投資家から見れば、相場のボラティリティ(変動率)は上昇しそうだ。

ピーターソン国際経済研究所のシニアフェロー、ジョゼフ・ギャニョン氏は「政権が口先介入でドルを押し下げる一方、ドル高を招く政策を進めるなら、ボラティリティはともかく、不確実性は増す」と指摘。「矛盾、あるいは支離滅裂と呼んでいいだろう。ちょっとした混乱を招くだけに終わりそうだ」と話した。

ジェットコースター

米政権の口先介入は功を奏しているようだ。主要通貨に対するドル指数は米大統領選以降の最安値である99.35を付け、ユーロは約2カ月ぶりに1ユーロ=1.08ドルを上回った。

スタンダード・バンク(ロンドン)のG10ストラテジー責任者、スティーブ・バロー氏は「こうした(政権幹部の)発言によってドルは値が飛ぶかもしれないが、口先介入だけで数週間、数か月にわたって下げ続けることはない」とし、ドルは「ジェットコースター」相場に入ると予想する。

バロー氏は、スイス国立銀行(中央銀行)が2年前にユーロに対するスイスフランの上限撤廃に追い込まれ、フランが暴騰した例を挙げ、「政策当局者の発言だけで為替相場が動くのなら、われわれは皆、ここ数年でスイスフランを売って一文無しになっていただろう」と話した。

(Jamie McGeever記者)

[ロンドン 2日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米GDP「かなり堅調」、インフレに懸念=アトランタ

ワールド

トランプ関税違法判決、EUは関税削減主張 英は優遇

ワールド

トランプ氏、GDP公表前に低迷を示唆 政府閉鎖で民

ビジネス

インフレ低下「慎重ながらも楽観視」=米ダラス連銀総
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由...「落葉帰根」派も「落地生根」派も
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 5
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 6
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 7
    ディープフェイクを超えた「AI汚染」の脅威──中国発…
  • 8
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 9
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 10
    生き返ったワグネルの「影」、NATO内部に浸透か
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 5
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 6
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 7
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 8
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 9
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中