最新記事

ソフトロボット

魚も気づかない!? 透明で柔らかいロボットアームをMITが開発

2017年2月10日(金)15時30分
松岡由希子

Hyunwoo Yuk/MIT Soft Active Materials Lab

<MITの研究チームは、柔らかく、透明な"UFOキャッチャー"のような形状のロボットアームを開発した。魚に気づかれないうちに捕獲することができ、柔らかい素材ゆえ、魚を傷つけてしまうこともない>

ロボットというとメタリックな硬い素材でできているイメージが強いが、近年、柔らかい素材でつくられた"ソフトロボット"の開発が世界各地ですすめられている。たとえば、欧州連合(EU)では、研究・技術開発資金助成計画『ホライズン2020』の助成のもと、2016年4月に、世界初のソフトロボットコンテスト『ロボソフトグランドチャレンジ(The RoboSoft Grand Challenge)』が開催された。

【参考記事】ハードウェアも電力も使わずに動く、完全にソフトな「タコ型ロボット」

透明な"UFOキャッチャー"のような形状のロボットアーム

米国では、海軍研究事務所(ONR)や国立科学財団(NSF)などからの助成により、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のZhao Xuanhe准教授を中心とする研究チームが、液体として水分を含むゲル材料"ヒドロゲル"をつかったロボットアームを開発。このほど、その研究内容がオンライン科学誌『ネイチャーコミュニケーションズ』で公表された。

このロボットアームは、透明な"UFOキャッチャー"のような形状。アームの素材には、ほぼ水で構成されるヒドロゲルが使われ、3Dプリンターとレーザー加工機で形づくられている。アームに水が送り込まれると、腕を開いたり閉じたりするように、アームが曲がったり、縮んだりする仕組み。透明なアームは、水中に入れるとまったく見えなくなるため、魚に気づかれないうちに捕獲することができ、柔らかい素材ゆえ、捕獲や放流のときに魚を傷つけてしまうこともない。

研究チームでは、ソフトロボットにヒドロゲルを採用するにあたって、細胞や器官をヒドロゲルで形成するシラスウナギに着目。透明の形状はカモフラージュに効果的であることがわかった。そこで、シラスウナギの透明度や強さ、速さと同等レベルのものを追求しながらロボット開発をすすめたという。その結果、このロボットアームは、魚を捕獲するだけでなく、水中で泳いだり、ボールを蹴るなど、一定の力や速さが必要な作業をも担うことができる。

また、ヒドロゲルは、柔らかく、湿り気があり、生体適合性のある素材で、ヒトの細胞や器官とも相性がよい。研究チームでは、今後、医療グループと積極的に提携し、これまでの研究成果を外科手術用ロボットに応用していきたい考えだ。

ボディが金属や合成樹脂などでできている従来のロボットは硬いため、頑丈だが、しなやかさがなく、環境の変化に適用しづらい面があった。ソフトロボットの研究開発がすすめば、ロボットが担うことのできる領域をさらに広げていくことができるだろう。

ニュース速報

ビジネス

米ダウ初の2万3000ドル台、ユナイテッドヘルスな

ビジネス

ドル上昇、FRB議長の後任人事巡る思惑で=NY市場

ビジネス

米FRB議長人事発表、11月アジア歴訪前の公算=関

ワールド

マリノ議員、麻薬対策トップ指名を辞退=トランプ米大

MAGAZINE

特集:中国予測はなぜ間違うのか

2017-10・24号(10/17発売)

何度も崩壊を予想されながら、終わらない共産党支配──。中国の未来を正しく読み解くために知っておくべきこと

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    ポルノ王がトランプの首に11億円の懸賞金!

  • 2

    石平「中国『崩壊』とは言ってない。予言したこともない」

  • 3

    北朝鮮「国連加盟国、米の軍事行動に参加しない限り核で攻撃せず」

  • 4

    北朝鮮危機、ニクソン訪中に匹敵する米中合意の可能性

  • 5

    年内にも発売されるセックスロボット、英研究者が禁…

  • 6

    オーストリアで「世界最年少」首相誕生へ 31歳が唱…

  • 7

    トランプ「ユネスコ脱退」、習近平「高笑い」

  • 8

    早わかり衆院選 主な争点別の各党の選挙公約

  • 9

    トランプに代わってクリントンが大統領になる道はま…

  • 10

    ネズミ被害に悩むワシントンDC、ストリート仕込みの…

  • 1

    米軍は北朝鮮を攻撃できない

  • 2

    イージス艦事故の黒幕は北朝鮮か? 最強の軍艦の思わぬ弱点

  • 3

    ポルノ王がトランプの首に11億円の懸賞金!

  • 4

    自転車大国オランダ、信号機を消してみたら起きたこ…

  • 5

    通勤時間というムダをなくせば、ニッポンの生産性は…

  • 6

    北朝鮮との裏取引を許さないアメリカの(意外な)制…

  • 7

    北朝鮮の送電網を破壊する、韓国「ブラックアウト爆…

  • 8

    カズオ・イシグロの「信頼できない語り手」とは

  • 9

    北朝鮮の金正恩が愛する実妹ヨジョン 党中枢部入り…

  • 10

    北朝鮮がフィッシング攻撃、米電力会社が標的に

  • 1

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 2

    「北朝鮮はテロリストだ」 北で拘束された息子は異様な姿で帰国し死んだ

  • 3

    北朝鮮はなぜ日本を狙い始めたのか

  • 4

    「金正恩の戦略は失敗した」増大する北朝鮮国民の危…

  • 5

    トランプの挑発が、戦いたくない金正恩を先制攻撃に…

  • 6

    米軍は北朝鮮を攻撃できない

  • 7

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 8

    中国が北朝鮮を攻撃する可能性が再び----米中の「北…

  • 9

    米朝戦争が起きたら犠牲者は何人になるのか

  • 10

    カンボジアで飼育されている巨大変異ブタ、安全なの…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

全く新しい政治塾開講。あなたも、政治しちゃおう。
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 特別編集

最新版 アルツハイマー入門

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2017年10月
  • 2017年9月
  • 2017年8月
  • 2017年7月
  • 2017年6月
  • 2017年5月