最新記事

エネルギー

トランプ、石油パイプライン建設促進 大統領令に署名

2017年1月25日(水)10時52分

1月24日、トランプ米大統領は、カナダから米国に原油を輸送する「キーストーンXL・パイプライン」と米ノースダコタ州に敷設予定の石油パイプライン「ダコタ・アクセス」の建設を推進する大統領令に署名した。撮影(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)

 トランプ米大統領は24日、カナダから米国に原油を輸送する「キーストーンXL・パイプライン」と米ノースダコタ州に敷設予定の石油パイプライン「ダコタ・アクセス」の建設を推進する大統領令に署名した。エネルギーインフラ拡大に向けオバマ前政権の主要な環境政策を覆した。

 トランプ氏は選挙戦で国内エネルギー生産拡大を公約に掲げ、就任前から二つのパイプライン建設を進める意向を示していた。

 署名を受けて、トランスカナダはキーストーンXL建設について再申請すると表明。申請は国務省が審査し、60日以内に決定される。

 スパイサー大統領報道官は、キーストーンXLについて「国にとって極めて重要だ」と述べた。

 輸送能力が日量80万バレルを超えるキーストーンXLは、カナダから米メキシコ湾岸までを結ぶパイプライン。約10年前に計画されたが、シェールオイルの生産拡大に伴って国内での供給が増え、輸入の必要性が低下していた。

 カナダのカー天然資源相は、同パイプラインはカナダですでに必要な承認を受けていると述べ、この事業は「カナダにとって非常に好ましい」とコメントした。

 トランプ大統領は、米国内で建設されるパイプライン建設に米国製の鉄鋼製品を利用する必要があるとする大統領令にも署名。

 トランプ氏はキーストーンXLについて、条件を再交渉する意向を表明。建設部門で2万8000人の雇用が創出される可能性があるとした。ただ、国務省が2014年の報告で示した建設関連3900人、常勤職35人という雇用創出効果とはかけ離れている。

 ダコタ・アクセスについても条件を再交渉する可能性があるとした。

 同パイプラインの建設に反対してきた先住民族スタンディング・ロック・スー族は24日声明を出し、大統領令の阻止に向けた措置を取ると表明した。

 一方、ノースダコタ州の石油協会は大統領令がエネルギー安全保障への大きな前進だとして歓迎した。同州の石油生産量は日量100万バレル程度となっている。

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ステファニク下院議員、NY州知事選出馬を表明 トラ

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、11月速報値は約3年半ぶ

ワールド

イラン大統領「平和望むが屈辱は受け入れず」、核・ミ

ワールド

米雇用統計、異例の2カ月連続公表見送り 10月分は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 9
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 10
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中