最新記事

南シナ海

トランプも南シナ海の「主導権」追求へ 中国政府系シンクタンクが分析

2016年11月25日(金)19時58分

11月25日、ドナルド・トランプ氏の次期米大統領就任は、米国の南シナ海への関与が終わることではなく、むしろ同地域に対する「主導権」の追求が続くことを意味すると分析した学術リポートが北京で発表された。ニューヨークで22日撮影(2016年 ロイター/Lucas Jackson)

 ドナルド・トランプ氏の次期米大統領就任は、米国の南シナ海への関与が終わることではなく、むしろ同地域に対する「主導権」の追求が続くことを意味すると分析した学術リポートが25日、中国の北京で発表された。

 リポートは中国の政府系シンクタンク、南海研究院の呉士存院長らが執筆。南シナ海に対する「完全な支配」を確保することがアジア太平洋地域における米軍の戦略の最重要事項だと指摘している。

 トランプ氏は選挙キャンペーン中、南シナ海についてはほとんど言及せず、中国との経済関係に焦点を当て為替操作国への認定や中国製品に輸入関税を課すことなどをほのめかしていた。

 呉氏は「南シナ海での米国の政策に大きな変更はないだろう」とし、同盟国への関与や南シナ海の航行の自由を保護する姿勢は変わらないと指摘。したがって同海域での米中間の緊張は中国軍の拡大に伴い、高まるとの見通しを示した。

 南京大学中国南海研究協同創新センターの朱鋒主任もリポートの発表の場で、トランプ氏のアジア太平洋地域における軍事政策には「変化よりも継続性」が見られるだろうと発言。トランプ氏はオバマ政権がアジア重視の観点から使用した「リバランス」という言葉は使わないかもしれないが、現行政策をおおむね維持する見込みだとした。

 両氏はともに、米国がトランプ政権下でアジア太平洋地域での軍事支出を拡大させる公算が大きいとみている。

[北京 25日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫

ビジネス

再送-〔ロイターネクスト〕米第1四半期GDPは上方

ワールド

中国の対ロ支援、西側諸国との関係閉ざす=NATO事

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円以外で下落 第1四半期は低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中