最新記事

タックスヘイブン

パナマ文書の情報提供者、沈黙破り声明文を発表

リークが論議を呼んだことを歓迎しつつ、十分な行動が取られていないと指摘

2016年5月9日(月)20時23分

5月6日、南ドイツ新聞は、「パナマ文書」を同社に提供した人物から、声明文を受け取っていたことを明らかにした。写真は同文書が流出したパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の入る建物の看板。パナマ市で4月撮影(2016年 ロイター/Carlos Jasso/Files)

 南ドイツ新聞(SZ)は6日、何百万枚にも及ぶ「パナマ文書」を同社に提供した人物から、声明文を受け取っていたことを明らかにした。リークの動機は、文書によって明らかにされた「不正の大きさ」にあるとしている。同人物が動機を明らかにしたのはこれが初めてだという。

 同紙ウェブサイトに掲載された声明文は約1800ワード。パナマ文書の提供者は自身を、無名を意味する「ジョン・ドウ」と名乗り、米当局の情報収集活動を暴露したエドワード・スノーデン容疑者など、機密文書を明らかにした他の人たちを称賛している。

「米国家安全保障局(NSA)に関する彼(スノーデン容疑者)の暴露は、英雄として歓迎を受けるに値する。追放ではなく、実質的な見返りを受けるにふさわしい」と、述べている。

 提供者はまた、司法当局と協力する意思を示すとともに、欧州委員会、英国、米国や他の諸国に対し、そのような機密情報の提供者を罰するのではなく、保護する措置を取るよう要請。

「内部者であろうと外部者であろうと、疑う余地のない不正を明らかにする正当な内部告発者は、政府による報復を受けるに値しない」と主張した。

 パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の暗号化された内部文書を、1年前に南ドイツ新聞に接触して提供したこの人物は、スパイではないと否定したうえで、文書の内容に記された「不正の大きさ」を認識したとしている。

 文書は1977年から昨年12月まで約40年にわたり、タックスヘイブン(租税回避地)にある一部企業はマネーロンダリング(資金洗浄)や武器・麻薬取引、脱税に使われていた疑いがあるとされる。

 この提供者がパナマ文書の原本を流出させた人物と同じかどうかについては、ロイターは独自に確認することができなかった。提供者の身元や性別は不明だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任

ビジネス

ANAHD、今期18%の営業減益予想 売上高は過去
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中