最新記事

金融政策

「マイナス金利導入は『近隣窮乏』環境生む恐れ」英中銀総裁

世界的な市場の混乱について、各国政府が大胆な改革に取り組んでいないことが要因と指摘

2016年2月26日(金)19時22分

2月26日、イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は、各国中央銀行のマイナス金利導入の動きについて、世界経済の低成長につながる「近隣窮乏」環境を生む恐れがあるとの見解を示した。写真はロンドンで4日代表撮影(2016年 ロイター)

 イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁は26日、各国中央銀行のマイナス金利導入の動きについて、世界経済の低成長につながる「近隣窮乏」環境を生む恐れがあるとの見解を示した。

 中国の上海で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議向けのスピーチで述べた。

 総裁は最近の世界的な株価や他の資産の下落について、各国政府が大胆な改革に取り組んでいないことが要因と指摘。

 「世界経済は、低成長、低インフレ、低金利が同時に作用して静止状態に陥るリスクがある」と述べ、各国政府が需要促進に向け、借り入れや支出の拡大を検討する可能性を示唆した。

 また、世界経済の約4分の1はマイナス金利を導入している経済が生み出していると指摘。

 「刺激策は、特にバランスシートが健全なセクターからの需要を促進するよう構成されていることが重要だ」とし、「マイナス金利がこれを達成できる程度には限りがある」と語った。

 「一国の観点からすると、経済活動を促進する魅力的な手段だが、世界全体にとっては、この超過貯蓄の輸出と需要低迷の移動は結局のところゼロサムゲームだ」と述べた。

 総裁はまた、各国中銀の自助努力では世界経済の成長ペースは改善していないとし、国際的な政策協調が必要だと発言。

 「金利の低下は、必要に応じて内需を直接押し上げるための財政政策余地を与える」と語った。

  

[ロンドン 26日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル157円台へ上昇、34年ぶり高値=外為市場

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2

ワールド

ベトナム国会議長、「違反行為」で辞任 国家主席解任
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中