最新記事

日本経済

円高で「爆買い」景気は後退? インバウンド関連株が減速

一方で訪日外国人客数の増加は続いており、外需関連株と比較すると依然として優位

2016年2月17日(水)17時16分

2月17日、インバウンド関連株が減速している。写真は買い物をした中国人旅行者。都内で4日撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)

 インバウンド関連株が減速している。対人民元で円高が進行しているほか、中国人観光客の1人当たり旅行支出の伸び率が頭打ちとなり、「爆買い」期待が後退しているためだ。ただ、全体の訪日外国人客数の増加傾向は続いており、世界景気減速の逆風を受ける外需関連株との比較では、依然として優位性を保っている。利益確定売りが一巡すれば、再び物色の矛先が向かうとの見方もある。

円高の影響を懸念

 年初来のインバウンド関連株の下落率は、16日時点で三越伊勢丹ホールディングス<3099.T>が17.4%、マツモトキヨシ<3088.T>が18.2%、コーセー<4922.T>が20.4%、H2Oリテイル<8242.T>が21.7%、松屋<8237.T>が30.4%。日経平均<.N225>の15.6%を超える下げとなっている。

 売り材料の1つは、対人民元での円高だ。昨年8月の「中国ショック」以降、元安/円高が進行。当時の20.1円台から、直近では17.4円台まで約13%円高が進行。14年10月以来の水準を付けた。

 リスクオフの円高が年初から進行するなかで、中国人観光客による消費に陰りが出ないか不安が広がっている。

 実際、中国からの観光客の1人当たり旅行支出は、伸び率がピークアウトしつつある。

 観光庁によると、前期比伸び率は昨年4─6月期の34.7%増から、7─9月期が18.8%増、10─12月期は18.7%増と徐々にスピードダウン。「高額商品から化粧品や生活必需品などに消費の対象がシフトしている」(外資系証券)とみられており、その動きが伸び率鈍化につながっている可能性を指摘する声が浮上している。

モノ消費に減速の気配

 企業決算にも、インバウンド消費の減速感が表れ始めている。化粧品大手の資生堂<4911.T>は、株価の年初来の下落率が9.3%にとどまっているが、9日に発表した2016年12月期の連結営業利益は、380億円と実質14.3%減(9カ月決算だった前期を12カ月に調整)の見通し。市場ではインバウンド需要の減速が警戒されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国、26年投資計画発表 420億ドル規模の「二大

ワールド

ロシアの対欧州ガス輸出、パイプライン経由は今年44

ビジネス

スウェーデン中銀、26年中は政策金利を1.75%に

ビジネス

中国、来年はより積極的なマクロ政策推進へ 習主席が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中