最新記事

防衛

自衛隊イージス艦3隻展開、北ミサイルの迎撃態勢を本格化

北朝鮮が国際機関に人工衛星打ち上げを通告したことを受けて

2016年2月3日(水)18時12分

2月3日、中谷元防衛相は、前日に北朝鮮が衛星発射を国際機関に通告したことを受け、迎撃ミサイルPAC3やイージス艦を展開できるよう、ミサイル破壊措置命令を出したことを明らかにした。写真は都内で昨年10月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

 日本政府は3日、北朝鮮の弾道ミサイル発射に備え、迎撃能力を備えたイージス艦3隻を日本海と東シナ海に展開した。これまでも警戒を強めてきたが、北朝鮮が国際機関に人工衛星打ち上げを通告したことを受け、本格的に迎撃態勢を整える。

 政府は正午から安倍晋三首相などが出席して国家安全保障会議(NSC)を開催。その後に中谷元防衛相が防衛省幹部を招集し、弾道ミサイルを迎撃する破壊措置命令を正式に出した。中谷防衛相は、「いかなる事態にも対応できるよう万全の体制を整えてきたが、今般の発表を受け、自衛隊のイージス艦、PAC3部隊などに対し、所要の態勢を取らせるべく、弾道ミサイルなどの破壊命令を発出した」と記者団に語った。

 北朝鮮は前日、国際海事機関などに対し、2月8日から25日の日本時間午前7時30分から午後零時30分に「人工衛星」を打ち上げると通告。北朝鮮北西部にある東倉里の発射場から南に向けて打ち上げる計画で、ロケットの1段目が韓国の西方沖合の黄海に、先端部の外郭を覆う部品が東シナ海に、2段目がフィリピンのルソン島の東方沖合に落ちると予測されている。

 北朝鮮による長距離ミサイル発射の兆候がみられた先週、すでに日本政府は東京・市ヶ谷の防衛省と埼玉県朝霞、千葉県習志野、沖縄本島の自衛隊基地にPAC3の配備を進めてきた。2日夜にロケットの飛行コースが明らかになったことで、上空を通過する可能性がある南西諸島の迎撃態勢を強化する準備に入った。

 ロケットが日本領域に落下すると判明した場合、日本海と東シナ海に展開したイージス艦3隻が大気圏外で迎撃、撃ち漏らした場合は南西諸島に配備したPAC3が大気圏に再突入してくる瞬間を迎撃する。

 破壊命令の期間は、北朝鮮が発射の通告をした2月25日まで。状況によって延長する。

 (久保信博)

[東京 3日 ロイター]

120x28 Reuters.gif
Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、ハイテク株に売り エヌビディア

ビジネス

NY外為市場=円が対ドルで上昇、介入警戒続く 日銀

ワールド

トランプ氏「怒り」、ウ軍がプーチン氏公邸攻撃試みと

ワールド

トランプ氏、ガザ停戦「第2段階」移行望む イスラエ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中