最新記事

中印関係

地震に乗じてネパールに恩を売る中国

被災地支援でインドを出し抜こうとする中国の思惑

2015年4月27日(月)14時21分
マーシー・クレイター

素早い対応 地震の翌日に派遣された中国の救助隊員と救助犬 Stringer-REUTERS

 ネパールで2800人近い死者を出した先週末の地震を機に、地域の大国の座を争う中国とインドのネパール争奪戦が激化している。

 ネパールの北隣りに位置する中国は、地震の翌日までに大規模な支援態勢を整え、62人の救助部隊と救助犬6匹を派遣。さらに20.5トンの支援物資を現地に届けた。地震に乗じ、ネパール政府に強い影響力をもつインドに対抗する考えだ。

 中国が今回申し出た320万ドルの資金援助は、アメリカの220万ドルをはるかに上回る。地震以前にも、3億ドル近い経済援助を発表している。ネパール経済に対するインドの圧倒的地位に風穴を開けるための戦略だという見方もあると、インドのヒンドスタン・タイムズ紙は報じている。

 中国の習近平(シー・チンピン)国家主席は、この地震に衝撃を受けたと言い、「中国は必要なあらゆる災害支援を提供する」と語った。

 一方、アジアの大国として巻き返しを図るインドは、地震当日のうちに災害支援部隊300人と移動病院を、翌日には食料、医療用品を送った。地震以前にも、ネパールのインフラと水力発電所の建設のために1000億ドルの借款を行ってきた。

 インドのナレンドラ・モディ首相はネパールの同胞たちと悲しみを共にすると言い、「被災者の手を取り、この苦難の時期に彼らを支援する」とラジオで語った。

 ネパールとヒマラヤを専門とするロンドン大学のマイケル・ハット教授が米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに語ったところによれば、ネパールを巡る中国とインドの競争は数十年前から続いてきた。

 この地域における中印の勢力争いが続けば、地震の悲劇は6500人超といわれる犠牲だけでは済まなくなるかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏訪中、延期の公算 「イラン作戦の成功優先

ワールド

ワイルズ米首席補佐官が乳がんと診断、職務継続へ ト

ワールド

IEA、必要なら追加的な備蓄放出も=ビロル事務局長

ワールド

ホルムズ海峡船舶護衛、欧州の多くで慎重論 「われわ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 5
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 6
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 7
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    50代から急増!? 「老け込む人」に共通する体の異変【…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 3
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中