最新記事
アレルギー

花粉症が引き起こす「食物アレルギー」が増加中----2人に1人が悩む時代の最新ワクチン・治療法

2025年2月13日(木)17時33分
村田 幸久(東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)*東洋経済オンラインからの転載
花粉症が引き起こす「食物アレルギー」が増加中----2人に1人が悩む時代の最新ワクチン・治療法

ViDI Studio -shutterstock-

<花粉シーズン到来。2030年には2人に1人がアレルギー患者になると予測される。現代社会で無視できない疾患の最新研究が示す治療の可能性を紹介>

自身もアレルギー患者で父を蜂アレルギーで亡くしている医療人類学者の著者が、5年以上かけて調査・執筆したテリーサ・マクフェイル『アレルギー:私たちの体は世界の激変についていけない』の日本語訳が刊行された。

花粉症や喘息、アトピーなどのアレルギーと闘う医療関係者や患者に取材を重ね、アレルギーの全貌に迫る「アレルギー大全」とも言うべき書だ。

「『アレルギー』は大事な一冊だと思います。今の時勢からも、やはりちゃんと読んで理解しておかなければいけません」と語る東京大学大学院農学生命科学研究科の村田幸久准教授は、人間と動物のアレルギーのメカニズムや予防・治療法を研究する中で、現在のアレルギーをめぐる課題についてどう考えているのか。


現代社会は化学物質まみれ

現代人にとって「きれい」という言葉は、絶対的な善を意味します。「きれい」を求め、さまざまな工夫が凝らされています。

例えば今私たちが話しているこの部屋の壁や天井には、カビ1つ生えていません。腐らず、匂わず、べとつかず、カビず、これらはすべて菌が増えないようあらゆる工夫が凝らされているからこそ実現しています。皆さん自身が普段これらの事実を意識することはないと思いますが。 

腐りにくい加工食品、生乾きを防ぐ洗剤、カビの生えない壁の材料やコーティング、汗をかいても匂わない消臭剤やスプレーなど、これらの商品や技術は、食品に関しては食中毒のリスクを減らすなど、私たちの生活に多くのメリットを提供してくれることに違いありません。

ガジェット
仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、モバイルバッテリーがビジネスパーソンに最適な理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

香港の大規模住宅火災、ほぼ鎮圧 依然多くの不明者

ビジネス

英財務相、増税巡る批判に反論 野党は福祉支出拡大を

ビジネス

中国の安踏体育と李寧、プーマ買収検討 合意困難か=

ビジネス

ユーロ圏10月銀行融資、企業向けは伸び横ばい 家計
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中