最新記事
気候変動

気候変動「脆弱国」の厳しい現実...「最悪の干ばつ」に苦しむアフリカの小国マラウイを洪水が追い打ち

2025年1月11日(土)12時15分
深刻な干ばつに見舞われたマラウイ

過去数十年で最悪の干ばつに見舞われたアフリカ南部の小国マラウイは、雨期が到来したことで今度は洪水や地滑りなどの災害に備えなければならない。写真は南部チクワワ地区で、トウモロコシ畑に農薬を散布する現地の農家。2018年3月撮影(2025年 ロイター/Eldson Chagara)

過去数十年で最悪の干ばつに見舞われたアフリカ南部の小国マラウイは、雨期が到来したことで今度は洪水や地滑りなどの災害に備えなければならない。南部チクワワ地区で農業を営むマクスウェル・ヌソナさん(50)は、干上がった川底に立ち、10年前もこの乾ききった砂地が集中豪雨によって激流へと一変した光景を思い出していた。

干ばつを悪化させたのは海面水温を上昇させるエルニーニョ現象で、こうした異常気象は地球の気候変動がもたらした公算が大きい。

そしてマラウイは雨を切望しているとはいえ、干ばつから解放されても別の危険がやってくる。逆に海面水温を低下させるラニーニャ現象が近く発生し、降水量が増大して洪水、土壌浸食、地滑りにつながる恐れがあるからだ。

ヌソナさんら農家も手をこまねいてきたわけではない。

川に沿って堤防を築き、石や植林でこれらを補強。「約10年前に3人が死亡した洪水の後でわれわれは解決策を見つけ出そうと決意した。すきやシャベルを使って川の流れを変えようとしたし、掘削機で150メートルの堤防を整備した。だが、この地区を襲ったサイクロン『アナ』と『フレディ』で流されてしまった」とヌソナさんは語る。

アナは2022年、アフリカで20年来最強とされたフレディはそのほぼ1年後、マラウイに襲来した。

ガジェット
仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、モバイルバッテリーがビジネスパーソンに最適な理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中