海運の要・パナマ運河を気候変動が直撃、16億ドル巨大ダム計画が「危うい」深刻な事情
パナマ西部、エル・ザイノ・イ・ラ・アレノザの緑豊かな渓谷では、数百世帯が農業や漁業、そして牛を飼育しつつ暮らしている。写真はパナマのカピラを流れるリオ・インディオ川。10月23日撮影(2024年 ロイター/Enea Lebrun)
パナマ西部、エル・ザイノ・イ・ラ・アレノザの緑豊かな渓谷では、数百世帯が農業や漁業、そして牛を飼育しつつ暮らしている。だがこの地はまもなく、気候変動の影響を受けるパナマ運河の運用を続けるために計画された巨大な人造湖の底に沈む予定だ。
その中のトレスエルマナスには農場が広がり、学校が2カ所、複数の教会、診療所が1カ所ある。パナマ運河庁による総工費16億ドルの大プロジェクトが実施された場合、今後6年以内に消滅する数十の街の1つだ。住民の意見は分かれる。街を離れたくないという者もいれば、離れざるをえないという前提で公平な補償を獲得することに集中する者もいる。最近の歴史を考えれば、補償額に満足できない場合には住民による反対運動が広がり、プロジェクト全体が危うくなる可能性がある。
このリオ・インディオ川ダム建設プロジェクトが最初に提案されたのは20年前。だが過去10年間で異常気象の頻度は増した。特にこの1年に発生した深刻な干ばつでパナマ運河の通航が制限されたことで、このプロジェクトの緊急性は高まった。
運河関連の収入はパナマの国内総生産(GDP)の3.1%に相当する。この水路は年間最大1万4000隻の船舶を通過させることができ、グローバルな海運貿易の2.5%を担っている。米国が自動車やアジアからのコンテナ船で運ばれる商業製品を輸入するためにも、また液化天然ガス(LNG)など米国からのコモディティー輸出にも同運河は不可欠だ。
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