最新記事
SDGsパートナー

フードロス削減、農業課題解決...トレハロースで「安定的な食料確保」を目指すナガセヴィータ

2024年11月15日(金)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
ナガセヴィータとブラジルのサンパウロ大学との共同研究の様子

干ばつになると、植物にストレスがかかり収穫量が減るが、トレハロースを散布することで植物が本来持つ干ばつに対する抵抗性を誘導できることが分かった(ナガセヴィータとブラジルのサンパウロ州立大学との共同研究の様子) 提供:Field Science/UNESP Team, Botucatu-SP, Brazil

<糖質の一種であるトレハロースを世界で初めて大量生産したナガセヴィータ。食品のおいしさを長持ちさせ、食品廃棄の削減に貢献しているだけでなく、近年は化学肥料に代わる農業資材への取り組みを強化している>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

ナガセヴィータ株式会社は、代表製品であるトレハロースを活用した、持続可能な食料システムの構築を推進している。食品用途に利用することでフードロス削減に繋げているほか、「安定的な食料確保」を実現するために、近年では化学肥料に代わる自然由来の農業資材への取り組みを強化している。

トレハロースの大量生産を実現し、フードロスの削減に貢献

トレハロースは、自然界に存在している糖質の一種だ。きのこ類や海藻、酵母などに多く含まれており、水分を保持したり、たんぱく質を安定化させたりといった働きを持っている。抽出が難しいことから、かつては希少な糖質として高値で取引されていた。

1994年、世界で初めてトレハロースを大量生産する方法を開発したのが、岡山県の老舗食品メーカー、ナガセヴィータ株式会社(当時は株式会社林原)だ。約140年前に創業して以来、自然界にある微生物や酵素を研究し、新しい素材を生み出してきた経験を活かし、大量安価な製法を確立させた。そのおかげで、現在ではその優れた働きが多様な用途で活用されている。

その一つが、食品分野での利用だ。ナガセヴィータの製造するトレハロース(製品名「トレハ」)は、炭水化物の老化抑制や、たんぱく質の変性抑制などの機能を有しており、野菜や果物の新鮮さを維持したり、加工食品の風味や色味、食感の維持向上に役立っている。

世界でフードロスの削減が重要な課題と位置づけられるなかで、食品のおいしさを長持ちさせるトレハロースの働きは、確実に食品廃棄量の削減に繋がっていると言えるだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:中国の飲食店がシンガポールに殺到、海外展

ワールド

焦点:なぜ欧州は年金制度の「ブラックホール」と向き

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みんなそうじゃないの?」 投稿した写真が話題に
  • 4
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 5
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 7
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 8
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中