最新記事
科学

動物と環境に優しい「チキンナゲット」誕生の可能性【最新研究】

Lab-Grown Chicken Nuggets May Soon Hit Supermarkets

2025年4月23日(水)17時35分
ルーシー・ノタラントニオ
チキンナゲット

Lebensmittelfotos-pixabay

<東京大学の研究チームが、ひと口サイズの「ホールカットチキン」の再現に成功。食品を超えた可能性について>

アニマルフリーなチキンナゲットを作る新たな方法が、発見されたかもしれない──この技術は動物の細胞から肉を育てる「培養肉」の世界において、大きな前進となる。

東京大学の研究チームが、鶏の結合組織から採取した線維芽細胞(せんいがさいぼう)を使用し、微細な中空繊維(ちゅうくうせんい)とロボットによる組み立てを活用して、ひと口サイズの「ホールカットチキン」の再現に成功した。


 

スコットランドのジェームズ・ハットン研究所(James Hutton Institute)代替タンパク質イノベーションセンター(National Alternative Protein Innovation Centre:NAPIC)の共同センター長であり、先端植物成長センター(Advanced Plant Growth Centre)の所長も務めるデレク・スチュワート教授は、今回の成果を「代替タンパク質の分野、特に培養肉における画期的な進展」と評し、次のように述べる。

「今回の研究成果は確固たるもの、かつ実証性が高く、結論に導く資料も豊富です。細胞の秩序正しい成長による食感の再現や、栄養・酸素の供給といった、従来の培養肉で課題とされてきた技術的なボトルネックを克服しています」

「厚い肉の塊」が育たなかった理由

これまで実験室で大きな肉塊を育てることは難しいとされた。血管が存在しない環境では、細胞内部に酸素や栄養が届かず、組織を一定以上の厚みにすることが困難だからだ。

投資
「FXで長期投資」という投資の新たな選択肢 トライオートFX「世界通貨セレクト」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国財政収入、9月前年比2.6%増 伸び加速

ワールド

自民との政策協議は大きく前進、野党とは「一区切り」

ワールド

中国の韓国造船業への「制裁」、米韓造船協力に影響と

ビジネス

欧州・アジアの銀行株が下落、米国の与信懸念が波及
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 5
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 6
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 7
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中