最新記事
経済

仮想通貨が「人類の繁栄と自由のカギ」だというペテンの正体

CRYPTO’S UNHOLY CHOIR

2025年1月7日(火)12時17分
アンドレス・ベラスコ(元チリ財務相)
仮想通貨支持者の1人、イーロン・マスク

ビットコインではまだコーヒーも買えないのに(写真は仮想通貨支持者の1人、イーロン・マスク) APU GOMES/GETTY IMAGES

ある退屈なズーム(Zoom)会議の最中、コンピューター画面の前で眠りかけていた私は、とんでもない発言にたたき起こされた。「トランプの当選で夢がかなった」

喜びいっぱいの顔でそう言ったのは、仮想通貨業界の大物だった。それも当然だろう。彼が大量に保有するビットコインは、トランプが昨年11月の米大統領選で勝利して以来、40%近く値上がりしている。


この手の熱狂的仮想通貨支持者は身勝手な宣伝をしているだけだと言えば、当人は激しく否定するはずだ。トランプ再選は過剰規制からの仮想通貨業界の解放という夢をかなえ、人類に繁栄をもたらすのだ、と。

現実には、ささやかな恩恵さえも見当たらない。2008年に発明されたビットコインでは、いまだにコーヒーも買うことができない。仮想通貨がいずれ不換紙幣に取って代わるという主張は説得力を失う一方だが、それでも仮想通貨支持者はめげない。

このところ喧伝されているのが、ビットコインが安全な価値貯蔵機能を備えたデジタル版の金になるという予測だ。これが「夢」なら、なんとも取るに足らない。金は大昔からあるが、資産を金塊で所有する割合はごくわずか。金価格は変動が大きいからだ。ビットコインの価格変動はさらに激しく、数年ごとに確実に暴落している。

試写会
米アカデミー賞候補作『教皇選挙』一般試写会 30組60名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国当局、民間企業支援の姿勢鮮明に 投資規制など緩

ビジネス

豪4大銀行が金利引き下げ、中銀に追随

ワールド

豪中銀、4年ぶり利下げ 追加緩和には慎重

ビジネス

ドイツの都市財政が悪化、低成長や社会保障支出増で=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞が浄化される「オートファジー」とは何か?
  • 2
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防衛隊」を創設...地球にぶつかる確率は?
  • 3
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VATも標的に
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 6
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 7
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 8
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 9
    ウクライナの永世中立国化が現実的かつ唯一の和平案だ
  • 10
    ロシアの戦車不足いよいよ深刻...「独ソ戦」時代のT-…
  • 1
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン...ロシア攻撃機「Su-25」の最期を捉えた映像をウクライナ軍が公開
  • 4
    【徹底解説】米国際開発庁(USAID)とは? 設立背景…
  • 5
    2025年2月12日は獅子座の満月「スノームーン」...観…
  • 6
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 7
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 8
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 9
    iPhoneで初めてポルノアプリが利用可能に...アップル…
  • 10
    【クイズ】今日は満月...2月の満月が「スノームーン…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 9
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 10
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中