最新記事
中国経済

人民元下落の観測強まる...トランプ関税で通貨安合戦も

2024年12月12日(木)12時48分
上海

12月11日、中国当局が人民元安の容認を検討していると報じられたことで、トランプ次期米政権の関税政策により世界の貿易と資金の流れが変わり、大きな為替変動が生じるリスクが裏付けられたとアナリストはみている。上海で2019年撮影(2024年 ロイター/Aly Song)

中国当局が人民元安の容認を検討していると報じられたことで、トランプ次期米政権の関税政策により世界の貿易と資金の流れが変わり、大きな為替変動が生じるリスクが裏付けられたとアナリストはみている。

ロイターは11日、関係筋の話として、関税の急激な引き上げに備えて中国の政策当局が人民元安を来年容認することを検討していると報じた。報道を受けて人民元は対ドルで急落し、中国の需要に敏感な他のアジア通貨もつれ安となった。


 

トランプ氏が米大統領選で勝利して以来、人民元の下落は広く予想されていた。しかし人民元安を政策転換として位置付けることは、世界が高関税、貿易摩擦、為替介入の時代に突入することを告げる動きかもしれない。

HSBC(香港)の主席アジアエコノミスト、フレッド・ニューマン氏は「関税の影響を和らげる道具として、為替調整が議題に上ってきた。そのことは明白だと思う。通貨を安くすることは、関税を課せば為替レートに影響するぞという、中国から世界に向けたシグナルかもしれない」と語る。

ロイターの報道後、人民元は約0.3%下げて1ドル=7.2803元を付けた。オーストラリアが中国に大量の資源を輸出しているため人民元の動きに敏感な豪ドルは、1年ぶりの安値に沈んだ。

トランプ氏は全ての輸入品に10%、中国からの輸入品には60%の関税をかける計画を示している。

金融市場は、1月20日のトランプ氏就任後には市場がさらに不安定化すると身構えつつも、同氏の脅しをどこまで真剣に受け止めるべきか態度を決めかねている。

ロイターが取材した関係者3人のうち1人は、中国人民銀行(中央銀行)が1ドル=7.5元程度までの元安を検討したと述べた。現在の7.25元から約3.5%の下落だ。

先端医療
手軽な早期発見を「常識」に──バイオベンチャーが10年越しで挑み続ける、がん検査革命とは
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 8
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中