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アジアの超富裕層が注目する多国籍不動産会社の秘密とは?

Post Lintel Investment Management

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2024年8月27日(火)11時00分
酒井理恵
ポスト・リンテルグループ常務取締役エダ(Ada)氏

1988年生まれ、中国出身。大連外国語大学卒業後、日本の武蔵野大学の大学院で学んだエダ氏。Forbesの資産家ランキング上位の起業家など世界の超富裕層からの信頼も厚い

<ホテルをはじめとする投資用不動産の売買や仲介を手掛け、急成長するポスト・リンテルグループ。グローバル人材の育成や、急回復したインバウンド需要を見越した同社の戦略に迫る>

円安、低金利、質の高さ──。相対的な割安感もあり、海外投資家による日本の不動産取引が活発になっている。だが、「人気の理由は円安だけではない」と投資用不動産の売買、仲介、管理で業績を伸ばしているポスト・リンテルグループ常務取締役のエダ(Ada)氏は指摘する。

外国人が日本で土地や建物を所有する際、永住権や日本国籍の有無、ビザの種類などによる規制はない。実は、これは世界でも稀な例だ。例えば2023年4月、シンガポールでは外国人が全ての不動産を取得する際の税金が既存の30%から60%へと倍増した。

エダ氏は「海外だと税制が一瞬で変わることも珍しくない。日本は社会、経済、治安が安定しており、変動が少ないことも海外投資家にとって魅力的。彼らは日本人以上に、日本のマーケットの良さを理解している」と指摘する。24年後半もインバウンド需要がマンションなどの不動産価格を下支えすると見られ、不動産業界は好調をキープすると予測されている。

なかでも熱視線が送られるのが、ホテル投資だ。訪日外国人観光客の急激な回復を背景に、その高い収益性とインフレに強い資産であることが注目を集めている。オフィスビルや賃貸住宅など、数あるアセットタイプの中でも特徴的と言える点は、実際にホテルの経営を担うことになる運営会社の選択が、収益のカギを握ること。エダ氏は「運営会社、運営方法を変えたことで収益が1.5~2倍になった例は少なくない。ホテルオーナーは不動産だけではなく、『運営会社のノウハウ』を買うことになる」と言う。そのため同社では案件のソーシング、ホテルの規模と投資家の属性に合わせた運営会社の選定、運営条件の調整、融資のアレンジメント、購入後の管理を含めたワンストップサービスを提供している。

ブルガリ ホテル 東京に社費で宿泊 物件を見る目を徹底的に養う

不動産業界において、専門知識が求められるホテル投資の主力を担うのは大手不動産仲介会社だ。そんな中にあって、ポスト・リンテルの取扱物件のうちホテルは5割を占める。中小企業の同社が、なぜ業界で存在感を発揮しているのか。その秘密は、地道な努力と先見性にある。

エダ氏らは「コロナ後、ホテル需要は必ず戻る」と見越し、インバウンドが急激に落ち込んだ期間をホテル投資の調査に費やした。それと同時に、その三年間で東京、大阪、京都で20棟以上のホテルを仲介した。

ホテルに限らず土地活用やレジデンスにおいても、同社の強みは「とにかく足を使うこと」。年間2~3回実施される海外視察ツアーでは朝から晩まで新築マンションやホテル、中古物件を見学。ディベロッパーに「この物件は、なぜこの仕様になっているのか」と細かく質問し、知見を深めている。付き合いのある海外投資家の所有物件に招待され、より実際の使われ方に近い状態の不動産を内見できることもあるという。

国内でも「ブルガリ ホテル 東京」をはじめ、従業員は研修のため様々なホテルに宿泊。費用は全額会社負担だ。「顧客は超富裕層。数十億単位の取引をする相手と対峙するには、日本の不動産の専門性を俯瞰的に話せることが求められる。そのためには、徹底的に足を運ぶしかない」とエダ氏は断言する。圧倒的な経験と情報量が、投資家から絶大な信頼を集めているのだ。

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