最新記事

家電

アマゾン、「ルンバ」のアイロボット買収 スマート家電強化

2022年8月6日(土)08時44分
ロボット掃除機「ルンバ」のショールーム

米アマゾン・ドット・コムは5日、ロボット掃除機「ルンバ」を製造する米アイロボットを約17億ドルで買収すると発表した。スマート家電事業を強化する。2018年5月撮影(2022年 ロイター/Elijah Nouvelage/File Photo)

アマゾン・ドット・コムは5日、ロボット掃除機「ルンバ」を製造する米アイロボットを約17億ドルで買収すると発表した。スマート家電事業を強化する。

買収は全額現金で実施し、1株当たりの買収額は61ドル。直近の終値(49.99ドル)に22%上乗せした水準となる。

発表を受け、アイロボット株は午前の取引で60.09ドルまで上昇。その後は約19%高の59.50ドル近辺で取引されている。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けたロックダウン(都市封鎖)時は、衛生意識が高い消費者の間で高級ロボット掃除機の需要が増大したことで、アイロボットの株価は197.4ドルまで上昇していた。

アマゾンのデイブ・リンプ上級副社長は記者団に対し「5─10年後にはどの家庭にも少なくとも一台のロボットがあり、日常生活の中核になる」と述べた。

アイロボットのコリン・アングル最高経営責任者(CEO)は、家庭には無数のデバイスがあり、互いにシームレスに通信し、いつか高齢者介護などの社会的な課題に対応することになるとした。

ルンバの価格は最大1000ドル。家の中の空間データを収集する機能もあるため、アイロボットはスマートホーム技術を開発する企業にとって貴重な存在となる。ただ、インフレ高進を背景に北米、欧州、中東・アフリカで需要が減退したことで、今年第2・四半期の売上高は30%減少した。

D・A・デビッドソンのアナリスト、トーマス・フォルテ氏は「アンディ・ジャシーCEOはジェフ・ベゾス氏よりも積極的にM&A(合併・買収)を行っていくもようだ」とし、「現在はアマゾン規模はより大きくなり、保有する現金も増えているため、理にかなう」と述べた。

アマゾンの現在の現金および現金等価物は370億ドル以上。

買収手続き完了後もアイロボットのコリン・アングルCEOは職にとどまる。

一方、法律専門家によると、アマゾンにはすでに音声アシスタント機能「アレクサ」やホームセキュリティー強化に向けて買収した米新興企業リングなどIoT(モノのインターネット)カテゴリーの製品が揃っており、アイロボット買収は米連邦取引委員会(FTC)によって調査される可能性が高いと指摘。「4分の1の確率で異議申し立てが行われる」とした。

買収が頓挫した場合、アマゾンはアイロボットに9400万ドルの契約解除手数料を支払う必要がある。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ブラックロック、AI投資で米長期国債に弱気 日本国

ビジネス

OECD、今年の主要国成長見通し上方修正 AI投資

ビジネス

ユーロ圏消費者物価、11月は前年比+2.2%加速 

ワールド

インドのロシア産石油輸入、減少は短期間にとどまる可
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カ…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 8
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 9
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中