最新記事

ものづくり

なぜファッションが「貧困問題」を解決できるのか? 白木夏子氏インタビュー

2022年6月22日(水)17時57分
白木夏子(ジュエリーブランドHASUNA founder & CEO)
白木夏子氏

Natsuko Shiraki

<「エシカル」という概念を日本に広めた経営者の白木夏子氏が、新著『ファッションの仕事で世界を変える』に込めた「ものづくり」への思い>

※このインタビュー記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。

「エシカルな方法でジュエリーがつくれることを業界の人たちに知らせることから世界を変えていきたい」。こうした志のもと、人や社会、環境に配慮したジュエリーブランドHASUNAを立ち上げ、CEOとして世界で活躍する白木夏子さん。エシカルという概念を広めてきた白木さんは、新著『ファッションの仕事で世界を変える』(筑摩書房)にどんなメッセージをこめたのでしょうか?

◇ ◇ ◇


ビジネスや起業によっても貧困や環境問題へのアクションを起こせる

『ファッションの仕事で世界を変える』を執筆したきっかけは、ちくまプリマー新書の編集者さんから、若い方向けにエシカルや起業のノウハウをまとめてほしいとお声がけいただいたことです。ちょうどHASUNAを起業した2009年から10年が経ったタイミング。良い節目だし、今までの経験や研究の集大成となるものをつくりたいと思っていました。

これまでは、私個人の起業経験やマインドセットに関わる部分をビジネス書やエッセイとして綴ってきました。ですが今回は、データやエビデンスに基づいて、エシカル・ビジネスを立ち上げ軌道に乗せるための道筋を体系的に書くという初の試みでした。

また、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部で教員として起業家育成と研究を行ってきたことも執筆に影響しています。若い方々に、起業家としての視点の持ち方や事業計画書のつくり方、マーケティングなどを教えることが増えてきました。そのなかで体系立ててきた起業のプロセスや実例をまとめたのが本書です。貧困や環境問題に対するアクションは国際協力などの援助だけではない。ビジネスや起業によっても行動を起こし、世界を変えていける――。そんなメッセージを若い方々に伝えられたらと思っています。

「エシカル」という言葉が広がった3つのターニングポイント

日本では現在、「サステナブル(持続可能な)」「エシカル(倫理的な)」という言葉が当たり前のように使われるようになっています。ですが、HASUNAの構想を考え始めた2008年当初は、ネットで「エシカル」と検索しても日本語では何も情報が出てこなかった。また、フェアトレード認証マークのついた商品も限られたショップでしか買えなかったのです。

振り返ると、そこから現在に至るまで変化のターニングポイントが3つありました。

220621fl_sni02.jpeg

ファッションの仕事で世界を変える
 著者:白木夏子
 出版社:筑摩書房
 要約を読む

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中