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ホンダジェット100機「大きく超える」受注、米景気回復が追い風

魅力的な商品で小型ビジネスジェット機の市場を拡大へ

2016年1月21日(木)11時15分

1月19日、ホンダの航空機事業子会社の藤野社長は会見で、ホンダジェットの受注について「100機を大きく超えるオーダーをいただいている」と述べた。サンパウロで昨年8月撮影(2016年 ロイター/Paulo Whitaker)

 ホンダ<7267.T>の航空機事業子会社、ホンダエアクラフトカンパニーの藤野道格社長は19日の会見で、ホンダジェットの受注について具体的な数の言及は避けたが、「100機を大きく超えるオーダーをいただいている」と述べた。主力市場である米国の景気が上向く中、受注や引き渡しの時期として好機との見解を示した。

 藤野社長は、富裕層や経営者が顧客の中心となっているホンダジェットのような小型ビジネスジェット機市場は「比較的、景気の影響を受けやすい」と話し、同市場の規模が大きい米国の景気状況は受注活動や引き渡しの時期として「ちょうどいいタイミング」と語った。

 藤野社長はまた、過去10年に単年で約270機だった同市場は世界のGDP成長率に比例して伸びることで「次の10年は最終的には年300―400機くらいまでになる」との見方を示した。その上で、パイが小さいため魅力的な商品が入れば大きく需要は変動するとも説明。ホンダジェットで市場を活性化し、「それ以上の需要を起こしたい」と述べた。

 同社は欧米など世界11拠点を通じて販売活動を展開。今後の受注拡大への課題はどの拠点でも同レベルのサービスを提供できるようにすることだとし、藤野社長はメンテナンスなどでの技術水準の「スタンダード化が非常に重要になる」と指摘、アフターサービスに重点を置くとした。

 ホンダジェットは2015年12月上旬、安全性のお墨付きとなる型式証明を米連邦航空局(FAA)から取得。同月下旬から顧客への引き渡しを始め、これまで3機の引き渡しを済ませた。現在は月3―4機を生産しているが、組み立て習熟度向上などにより2016年末からは月5―6機に引き上げる計画。能力としては年100機の生産が可能だが、受注状況をみながら今後調整する。航空機事業としては5年後の単年度黒字化を目指しており、整備会社向けにエンジンの外販も検討する。

 ホンダジェットは優れた燃費性能や居住性などを武器に、先行する米セスナやブラジルのエンブラエルの機種に対抗する。乗員含めて7人乗りで、機体価格は450万ドル(約5億3000万円、訂正)。航続距離は2185キロで、ニューヨークーシカゴ間(1140キロ)などが飛行できる。

 (白木真紀)

[東京 19日 ロイター]

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