最新記事

ニュースデータ

日本の学生のパソコンスキルは、先進国で最低レベル

「デジタルネイティブ」世代ならパソコンを使えるだろうと期待するのは大間違い

2015年9月9日(水)18時35分
舞田敏彦(教育社会学者)

ゲーム専用? 日本の学生が自分のパソコンを所持する割合は、欧米諸国に比べると格段に低い baona-iStockphoto

 パソコンが普及した90年代以降に成長した世代を「デジタルネイティブ」と呼ぶ。しかし、これに該当するはずの日本の学生のパソコンスキルが、実は先進国の中でも最低レベルだということは余り知られていない。

 内閣府が2013年に実施した『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』では、7か国の若者に対し、パソコンやスマホといった情報機器の所持について尋ねている。10代の若者の所持率を国別に出すと、次の<表1>のようになる。最も高い国は赤字、低い国は青字で表示した。

maita150909-chart1.png

 日本は携帯ゲームの所持率は最も高い。しかし他の4つはいずれも最低だ。とくにパソコンの所持率が、欧米諸国に比べて格段に低い。自分専用のノートパソコンを持っている割合は43.3%、デスクトップパソコンは2割にも満たない。

 ちなみにノートパソコンもデスクトップも持たない者の割合は、日本が45.3%、韓国が19.9%、アメリカが11.4%、イギリスが9.2%、ドイツが6.7%、フランスが7.6%、スウェーデンが7.1%で、日本が圧倒的に高い。

 家族と共用のパソコンを使うケースが多いというのでもない。OECD(経済協力開発機構)の国際的な学習到達度調査『PISA 2009』によると、日本の15歳の生徒のうち「自宅にパソコンがあり、自分もそれを使う」割合は70.8%。45か国の中で6番目に低い。日本では、10代のおよそ半分が自分のパソコンを持たず、3割は家族との共用もしていないことになる。先進国の中では、若者がパソコンに触れる頻度が突出して低い社会だ。

 仲間内でメールをやり取りしたり、情報を受動的に収集したりするだけならスマホでもできるが、情報を整理、加工して発信するとなるとそうはいかない。社会に出て働くようになれば、コンピューターを使いこなすスキルが求められることになる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場・午前=ナスダック一時1週間ぶり安値、

ワールド

プーチン氏、マドゥロ政権に支持表明 経済協力も協議

ワールド

米印首脳が電話会談、二国間関係や国際情勢など協議

ビジネス

米9月貿易赤字10.9%減、予想外の縮小 20年6
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキャリアアップの道
  • 2
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 3
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 4
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 5
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 6
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎…
  • 7
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 8
    ピットブルが乳児を襲う現場を警官が目撃...犠牲にな…
  • 9
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中