最新記事

自動車

テスラIPOで明るみに出た投資リスク

2010年6月24日(木)14時31分
ナンシー・クック

充電中 テスラのEVにはトヨタ自動車も投資する予定だが(2010年1月、デトロイトで) Mark Blinch-Reuters

 電気自動車(EV)メーカーのテスラモーターズは6月29日にナスダック(米店頭市場)で新規株式公開(IPO)を行う見込みだ。1株14〜16ドルで約1000万株を発行する予定だが、テスラが米証券取引委員会(SEC)に提出した計画書を読めば、同社が多くの問題点を抱えていることは一目瞭然。テスラ自身が挙げるテスラ投資のリスクとは......。

■テスラのスポーツタイプ車の価格は10万ドル。3.9秒で時速約100キロという加速性能を誇るが、これまでに1063台しか売れていない。家族向けのセダンタイプの生産は12年以降になる。

■08年にEVを市場投入して以降、1度も利益を出していない。10年1〜3月期の損失は2950万ドル。

■政府の支援に依存したために、経営の手足が縛られる結果となった。赤字補填のためエネルギー省から4億6500万ドルの融資を受けたが、条件としてセダンの開発に3300万ドルを投じ、セダン発売後は、売り上げの半分を設備投資と動力伝達システムの開発に回さなければならない。

■イーロン・マスク会長兼CEO(最高経営責任者)はテスラの顔だが、アキレス腱でもある。オンライン決済サービス、ペイパルの共同創業者として知られ、有力な人脈とともに数々のゴシップをテスラにもたらしてきた(SF作家と離婚し、モデルと同居中)。これまで自己資金をテスラにつぎ込んできたが、貯金も底を突いた。

■そもそも10万ドルもするEVを誰が買うのか。計画書を見る限り、テスラも自信がなさそうだ。

[2010年6月30日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国の海外ブランド携帯電話出荷台数、11月は128

ワールド

日経平均は小反発、クリスマスで薄商い 売買代金は今

ワールド

タイ11月輸出、予想下回る前年比7.1%増 対米輸

ワールド

中国で一人っ子政策の責任者が死去、ネットで批判の投
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中