最新記事

テクノロジー

さよならアップル、こんにちはグーグル

グーグルが画期的な携帯電話向け新OSを発表。自己中心的なアップルとiPhoneの時代はそろそろ終わりが近づいている

2010年5月21日(金)18時03分
ダニエル・ライオンズ(テクノロジー担当)

もううんざり アップルの市場独占で未来は暗くなる?(iPhoneとアプリ「エコファインダー」) Robert Galbraith-Reuters

 iPhoneのキャリアであるAT&Tのひどいサービスにほとほと嫌になっていた私は、ベライゾンの携帯電話HTCインクレディブル(OSはグーグルの「アンドロイド」を搭載)に乗り換えることを真剣に検討していた。

 そして今日(5月20日)、新OS「アンドロイド2.2」が発表されるのを見て決断した。

 バイバイ、アップル。iPhoneはもういい。本当にサヨナラだ。

 アップルがAT&Tの通信網と決別しようが、ベライゾンと手を組もうが関係ない。色々なブログに書かれているように、そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。

 これまでは、ベライゾンの通信網でiPhoneが使えればうれしいと思っていた。

 でも、もう違う。

 アンドロイド2.2(通称Froyo)はiPhoneOSよりも断然いい。まず動作が早いし、アップルが嫌がらせのように拒否しているアドビの動画ソフト「フラッシュ」にも対応している。

 アンドロイド端末をWi-Fiアクセスポイントにできるテザリング機能もサポートするので、これをモデムとして使いパソコンをネットにつなぐことができる。アップルとAT&Tもテザリング機能をそのうち提供するとしているが、いつになるかは分からない。だからグーグルが発表の場で、アンドロイド2.2搭載の携帯電話を使ってアップルのタブレット型端末iPadをネットに接続した時には、会場に大きな笑いが生まれた。

 楽曲を購入して、携帯電話にダウンロードすることもできる。パソコンのライブラリーにある曲を携帯電話で再生することも可能だ。個人的には携帯電話を音楽プレーヤーとして使うことはほとんどない。それでも、アップルがカバーしていないこの機能を、グーグルが提供することに感動した。

 アップルだって提供は可能なはずだが、そうしないことを選んだ。誰もその理由は分からないが、たぶん彼らの古いやり方に人々を閉じ込めておきたいのだろう。あるいは、市場トップの地位を確保しているので、怠けただけかもしれない。

ウィンドウズに負けたジョブズを彷彿とさせる

 グーグルが導入したものを、アップルがいつか組み込む可能性はある。つまり、今はアップルがグーグルを追いかけているのだ。

 今日の発表イベントで最も印象的だったのは、グーグルのアップルに対する姿勢。今もアップルの仲間だというふりはしないで、アップルとの全面戦争に入ったことを認めていた。

 アドビのようなアップルのライバルたちと違い、グーグル幹部はアップルのひどい振る舞いを嘆いているだけではない。どちらかといえばアップルをからかい、笑いの種にした。

 アメリカでは5月に、アンドロイド搭載携帯電話がiPhoneの販売台数を超えたという調査が発表された。提供する技術の点では、グーグルはアップルを追い抜きつつある。

 このニュースに対して、アップル側がその調査は一部の消費者を対象にしたもので、実際は自社の携帯電話のほうが売れていると語ったことに私はちょっとショックを受けた。

 これは以前に見た流れとそっくりだ。80年代、アップルはパソコンの分野で最初に一歩リードし、それから自己中心的になった。すべてを支配したがることで悪名高いアップルのスティーブ・ジョブズは、ほかの人たちからただただ受けが悪かった。

 そして、アップルのOSの模倣品だったウィンドウズを引っさげてマイクロソフトが現れた。マイクロソフトは誰とでもパートナーになり、今では市場シェアは90%に上る。一方で、アップルのシェアは一桁に止まっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

第1四半期の中国スマホ販売、アップル19%減、ファ

ビジネス

英財政赤字、昨年度は公式予測上回る スナク政権に痛

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、4月速報値は51.4に急上昇 

ワールド

独、スパイ容疑で極右政党欧州議員スタッフ逮捕 中国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中