最新記事

2017.10.02

ニューストピックス

ツイートの影に隠れた「トランプ効果」 アメリカ社会に変化の兆し

2017年10月2日(月)10時37分

トランプ米大統領は目玉公約こそ達成できていないが、実は既にさまざまな形で米国民の暮らしを変え始めている。就任からの9カ月でトランプ氏は積極的に規制撤廃に動き、大統領命令を発したり環境基準を修正してエネルギーから航空まで各種業界のルールを書き直してきた。

政権は内部で足並みがそろわず、トランプ氏自身の決定も衝動的で気まぐれな面があるとはいえ、米国の社会と経済への影響は幅広く、持続性を持つ可能性がある。

こうした変化の一部は大きなニュースとして伝えられている。しかしその多くは、日々の論争やトランプ氏によるツイッターの「炎上発言」などに紛れて気づかれないうちに進行している。

例えば、石油はいつの間にか「ダコタ・アクセス・パイプライン」を通って輸送されており、米国内で生活する不法移民の拘束件数は増加した。石炭採掘に開放される連邦政府所有地はより多くなっている。

もう少し細かい面でも、オバマ前政権時代に制定されたいくつかの規則が撤回されたり、導入が先送りされた。これには退職者の貯蓄を無節操な金融アドバイザーから守るためものや、インターネットのプロバイダーによる顧客の個人情報利用を制限したものなどが含まれる。

いずれもトランプ氏が約束した派手な政策変更に比べると目立たないものの、実際の効果という点では遜色はない。保守系シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ政策研究所(AEI)の政治アナリスト、ノーム・オーンスタイン氏は「トランプ氏はすさまじいほど多くの政策を生み出し、同時に解体している」と指摘した。

トランプ氏は、医療保険制度改革(オバマケア)改廃やメキシコとの国境の壁建設などの問題で議会の承認を得られず窮地に追い込まれたことで、行政権限の行使に活路を見出した。

その権限の範囲内でこれまでに数百の規制や規則を撤廃し、47の大統領命令に署名したほか、オバマ前政権終盤に承認された規制を無効にするために「裏技」とも言える議会評価法を14回も適用した。この法律は、16年前に一度使われて以来ずっとほこりをかぶっていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、半導体関連株が押し上げ

ビジネス

米消費者の1年先インフレ期待、3%に低下=NY連銀

ワールド

米財務長官、来週の訪日を計画 南アで開催のG20会

ワールド

トランプ氏、9日午前に貿易関連の発表 少なくとも7
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワールドの大統領人形が遂に「作り直し」に、比較写真にSNS爆笑
  • 4
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 5
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 6
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 7
    自由都市・香港から抗議の声が消えた...入港した中国…
  • 8
    トランプ、日本に25%の関税...交渉期限は8月1日まで…
  • 9
    「けしからん」の応酬が参政党躍進の主因に? 既成…
  • 10
    人種から体型、言語まで...実は『ハリー・ポッター』…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 7
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 8
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 9
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 10
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中