コラム

台湾の中心で「武力統一」を叫ぶ......言論の自由を利用する中国

2025年04月19日(土)17時50分
ラージャオ(中国人風刺漫画家)/トウガラシ(コラムニスト)
台湾

©2025 REBEL PEPPER/WANG LIMING FOR NEWSWEEK JAPAN

<台湾で「武力統一」を叫んだ大陸出身のインフルエンサーが退去処分になった。言論の自由を保障しない台湾は強権的なのか?>

「陸配(ルーペイ)」とは、台湾人と結婚した中国大陸出身の配偶者を指す台湾の言葉。ネット名「亜亜(ヤヤ)」はその1人だ。彼女は中国版TikTok「抖音(ドウイン)」で「中国による台湾の武力統一にはもはや理由は必要ない」「五星紅旗が台湾中に広がるのが楽しみ」などと発言。台湾当局に居留許可を取り消され、退去命令と5年間の再居留申請不許可処分を受けた。彼女と同じ処分を受けた陸配はほかに2人いる。

陸配が退去処分を受けるのは、台湾では初だ。現在の頼清徳(ライ・チントー)政権は、かつての馬英九(マー・インチウ)政権の融和路線と正反対なのはもちろん、前任者の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権より中国大陸に妥協しない姿勢であることがはっきり分かる。


言論の自由を保障しない台湾は強権的なのだろうか?

「中華人民共和国は統一された国家であり、台湾はその不可分な一部である」と中国政府は主張する。2005年制定の反国家分裂法は、台湾独立を推進する行為を厳しく取り締まる。台湾人は中国政府から中国国民と見なされるため、「内部の反逆者」として厳しく処罰されるリスクが高い。

プロフィール

風刺画で読み解く中国の現実

<辣椒(ラージャオ、王立銘)>
風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

<トウガラシ>
作家·翻訳者·コラムニスト。ホテル管理、国際貿易の仕事を経てフリーランスへ。コラムを書きながら翻訳と著書も執筆中。

<このコラムの過去の記事一覧はこちら>

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